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Bリーグで最強に熱いHCは東京に。
ルカ・パヴィチェヴィッチの素顔。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2018/03/23 10:30
今年1月1日の試合後、相手の千葉ジェッツの富樫勇樹とハグをするルカ・パヴィチェヴィッチHC。
コーチの仕事には成長させることもある。
――しかし、試合中には勝利を求めて戦うわけで、その切り替えは容易ではないのでは?
「先ほども言いましたが、日本には礼儀正しさ、相手のことをリスペクトする文化があります。もちろん、我々は試合に勝つために準備をしているし、試合が始まれば両チームとも試合に勝つことを目標にします。でも、試合は基本的に始まってから(ハーフタイムやタイムアウトなどを含めても)2時間ほどで終わるのです」
――そこには日本の文化があるとして、なぜあなたはそうやって考えられるのでしょうか?
「コーチの仕事には、試合に勝つこと以外に、成長させることもあります。昨シーズン、私が大学生を集めて、スプリングキャンプを行なったのもそのためでした」
勝つこと、発展することを楽しんでいる。
ルカは昨年2月から3月、3回に分けてユニバーシアード日本代表のために、テクニカル・アドバイザーとして合宿を行なった。そこには大学生はもちろん、チームを指揮した東海大学HCの陸川章、拓殖大学HCの池内泰明、大阪体育大学HCの比嘉靖らも参加した。そして、3次キャンプの締めくくりとして、韓国遠征も行なった。
「あのときの韓国遠征も、試合に勝つことは目的のひとつではありましたが、それだけがすべてではありませんでした。大学のバスケットボール界を発展させることが重要で、だからこそ選手だけではなく、コーチの間でも積極的にコミュニケーションを取って、意見をぶつけあったり、アイデアを交換したのです。勝つことは大切ですが、コーチングというのは勝つことだけを指すのではないのです」
――しかし、あなたの勝利を求める強烈なキャラクターだけがクローズアップされることもあります。それについてはどう感じていますか?
「私は気にしていませんよ(笑)。私が勝つことだけに飢えていると、周りの人たちが思っても。それは私の中の一部分にすぎません。本質は、私がこの仕事を楽しんでいるということなのです。そのなかには勝つことも、バスケットボール界を発展させることも含まれています。
私は、旧ユーゴスラビアのスクール・オブ・バスケットボール(ユーゴスラビア・バスケットボール学派)の出身です。そこではバスケットボールを発展させることが使命でした。だからこそ、今も勝つことと、成長させることの両方に目を向けているのです」