球体とリズムBACK NUMBER
1部最下位でも分配金は139億円!
プレミア中堅指揮官の天国と地獄。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2018/03/21 16:30
サウサンプトンを解任されたペジェグリーノ(写真中央)。攻撃的なスタイルに注目が集まったが……。
じっくり腰を据えた中堅クラブも多い。
一方、ニューカッスル、ブライトン、ハダーズフィールドの昇格3チームや、バーンリー、ボーンマスといった中堅クラブはじっくり腰を据えて、それぞれの監督を信頼し、結果も得ている。実際、この5チームの監督たちは現在のプレミアリーグで息の長い指揮官のトップ8に入る。
1位 アーセン・ベンゲル(アーセナル)22季目/1996年10月1日就任
2位 エディー・ハウ(ボーンマス)6季目/2012年10月11日就任
3位 ショーン・ダイシ(バーンリー)6季目/2012年10月30日就任
4位 マウリシオ・ポチェッティーノ(トッテナム)4季目/2014年5月27日就任
5位 クリス・ヒュートン(ブライトン)4季目/2014年12月31日就任
6位 ユルゲン・クロップ(リバプール)3季目/2015年10月8日就任
7位 デイビッド・ワグナー(ハダースフィールド)3季目/2015年11月9日就任
8位 ラファエル・ベニテス(ニューカッスル)3季目/2016年3月11日就任
バーンリーのショーン・ダイシとボーンマスのエディー・ハウは、2部の頃から時間をかけてチームを成長させてきた。昇格3クラブは、おそらくそれをロールモデルにしているのだろう。ポリシーに一貫性のあるクラブに対しては、ファンも気持ちを込めやすい。
哲学を大事にして、数字にもつなげる。
つまるところ、フットボールはとてもエモーショナルなものだ。彼らには目先の結果よりも大事にしている哲学があり、その姿勢が数字にもつながる好循環まで生み出している。太りすぎた巨人たちが跋扈するリーグでアンダードッグたちが生き抜く術としては、少数派ではあるけれど……。
圧倒的な収益を約束する世界一リッチなプレミアリーグ。その戦場にとどまり続けるために、各クラブはそれぞれの決断を下す。何が正しいかは、最終結果だけが教えてくれる。
今季の優勝はペップ・グアルディオラ監督が率いるマンチェスター・シティにほぼ決まっているが、欧州カップ戦出場権や残留を懸けた争いは予断を許さない。指揮官たちが座る椅子と同じくらい熱い戦いが、最後まで繰り広げられることだろう。