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ブッフォンの代表復帰に「NO!」。
混迷するアズーリの明日はどっちだ。
posted2018/03/22 08:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
アズーリはどこへ向かおうとしているのか。
17日、イタリア・サッカー連盟が今月下旬の英国遠征へ臨むイタリア代表の招集リストを発表した。
物議を醸したのは、GKブッフォン(ユベントス)の“復活招集”だ。今年1月、40歳になったベテラン守護神は昨秋のロシアW杯予選プレーオフ敗退を機に代表から身を引いたはずだった。
“アポカリプス(世界の破滅)”と呼ばれた、60年ぶりのW杯予選敗退から4カ月。春のイタリアはなお騒々しい。
アルゼンチン(23日・マンチェスター)やイングランド(27日・ロンドン)と対戦する英国遠征で、暫定監督として指揮を執るのは、U21代表監督ディビアージョだ。
「ブッフォンにはあと2、3試合代表でやってもらいたい。彼はピッチの中でも外でも代表に必要な男だ」
先月下旬、ディビアージョがブッフォン再招集の考えを示すとすぐに世論は紛糾した。
今回ばかりは世代交代を断行すべきではないのか。
多くの国民は、若手選手の積極登用とベテラン選手の一掃を望んでいる。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙のアンケートでは、70%以上の投票者がブッフォンの復活招集に「NO」を突きつけた。
連盟の会長すら自分たちでは決められず。
代表人気回復を図るサッカー連盟の立場は苦しい。
W杯本大会出場を逃した責を問われたタヴェッキオ前会長の辞任に伴い、連盟は今年1月下旬に新会長選挙を実施した。
しかし、選手協会会長トンマージら改革を訴えた3人の候補たちはいずれも安定多数を得るために必要な票数をまとめ上げることができず、会長選は当選者不在という前代未聞の結果に終わった。
つまり、イタリア連盟とその関係者たちは“自分たちのリーダーを決めることすらできない、ガバナンス能力の欠如した組織である”と内外に恥を晒したのだ。イタリア・サッカー界の混迷もここに極まった感すらあった。