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1部最下位でも分配金は139億円!
プレミア中堅指揮官の天国と地獄。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2018/03/21 16:30
サウサンプトンを解任されたペジェグリーノ(写真中央)。攻撃的なスタイルに注目が集まったが……。
最下位でも139億円超の放映権料。
広く報道されているように、プレミアリーグの放映権料は昨季から飛躍的に増額されて、1シーズンに総額85億ポンド(約1兆2750億1200万円)が20チームに分配されている。
これにより、最下位で終えたチームでさえ、およそ9300万ポンド(約139億5000万円)を手にするようになった。それはブンデスリーガの首位チームが受け取る分配金の倍以上だ。
かたや、昨季のEFLチャンピオンシップ(イングランド2部リーグ)を制したニューカッスルに渡された報奨金は約710万ポンド(当時のレートで約10億円)。プレミアリーグに所属するクラブが、残留を最も重視するのも頷ける。
彼らは何よりも降格を恐れ、時に性急にも見える人事変更を決断するのだろう。
ショック療法が実を結ぶケースはあるが。
もっとも、指揮官交代のショック療法が実を結ぶケースはある。
今季のプレミアリーグでは、レスターとエバートン、スウォンジーが状況を好転させた。マルコ・シウバ前監督の下でチームが不調に陥ったワトフォードは、好調だった序盤よりも順位を下げているが、ハビ・ガルシア監督への政権交代で落ち着きを取り戻しているようだ。
ただし、それ以外の4チームは下位から抜け出せていない(約半数のチームが監督を代えているのだから、どこかが下位に回る必然はあるにしても)。
クリスタルパレスはデブールからロイ・ホジソン、ウェストハムはスラベン・ビリッチからデイビッド・モイーズ、ウェストブロムウィッチはトニー・ピューリスからアラン・パーデュー、ストークはマーク・ヒューズからポール・ランバートへ指揮官を代えた。
いずれの新監督もフレッシュな顔ぶれとは言いがたく、特に前者2人はそれぞれイングランド代表とマンチェスター・ユナイテッドを率いて大きく株を下げた指導者だ。
それでもフロントは、とにかく変化が必要だと考えたのだろう。その短期的な見込みは今のところ、残念ながら外れている。