球体とリズムBACK NUMBER
1部最下位でも分配金は139億円!
プレミア中堅指揮官の天国と地獄。
posted2018/03/21 16:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
大きなプレッシャーや厳しい批判に晒される重要な任務のことを、英語で「hot seat」と言う。プロスポーツの監督の座を表わす際にも頻繁に使われる言葉だ。
しかし今季のプレミアリーグの指揮官ほど、その椅子の熱さを感じている人たちもいないだろう。彼らの多く──特にボトムハーフの中堅クラブの監督たちは、すぐに尻に火がついてしまう状況にあるからだ。
3月12日、吉田麻也の所属するサウサンプトンはマウリシオ・ペジェグリーノ監督を解任した。このアルゼンチン人指揮官は昨夏、攻撃的なプレースタイルの導入を期待されて就任したが、なかなか結果が伴わず、リーグ戦ここ17試合でわずかに1勝。更迭も致し方なしと言える。
それにしても、今季のプレミアリーグで解任された監督はこれで9人目だ。この時点の監督交代記録としてはプレミア史上最多タイ、監督を代えたクラブ数は単独トップである。
F・デブールは就任3カ月も経たずに解任。
異常事態の兆候は、開幕後すぐに現われていた。クリスタルパレスのフランク・デブール監督は、リーグ戦4試合を終えた時点で、就任から3カ月も経たずに首を切られた。彼もまた能動的なフットボールを望まれて新天地に降り立ったが、4連敗でスタートに失敗すると、第4節翌日の9月11日にいとまを告げられたのである。
ここまで早いタイミングでの指揮官交代は、2008-09シーズン以来のこと。ただし、当時ウェストハムのアラン・カービッシュリー監督は開幕から白星を先行させていたし、チームを任されて3シーズン目だった。また第3節終了後に自ら職務を離れたのは、戦力補強の方針を巡ってフロントと揉めたことが理由。その事情は大きく異なる。
一方、今季職を失った9人の指揮官は全員、成績不振が理由である。9月以降、唯一2月を除いて毎月誰かが指揮官の座を追われており、相次ぐ監督交代劇は現在のプレミアリーグを象徴するひとつの大きな側面にも映る。