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ブッフォンの代表復帰に「NO!」。
混迷するアズーリの明日はどっちだ。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/03/22 08:00

ブッフォンの代表復帰に「NO!」。混迷するアズーリの明日はどっちだ。<Number Web> photograph by Getty Images

ブッフォンの経歴に、多くの国民が手放しの敬意を抱いている。しかし今回ばかりは、風向きは逆のようだ。

上位組織の剛腕会長が介入して事態が進展。

 状況が大きく動いたのは、上位機関にあたるCONI(イタリア五輪委員会)のマラゴ会長による連盟への直接介入からだ。

 会長選での不首尾を重く見たマラゴ会長は2月1日、セリエAの特任コミッショナーに自ら就任することを発表、サッカー界改革に乗り出した。

 マラゴ会長は平昌五輪でのCONIの責務を果たさなければならなかったが、韓国から帰国するや否や自身の懐刀であるCONI上級役員をサッカー連盟の暫定会長の座に就けると、さらに空席となっているセリエAリーグ機構の会長ポストにも知己であるメガバンク頭取を招聘することを各クラブ代表たちに納得させた。

 その政治手腕は見事としか言いようがない。

 強権を行使したようにも見えるが、自身も国内有数の実業家であり、政財界に強力なコネを持つマラゴのような強力なリーダーシップをイタリア・サッカー界が必要としていたのは明らかだ。

 顔もコネも効かない人物では難局を乗り切ることはできない。表舞台における役者に喩えるなら、マラゴは清濁併せ呑む名奉行役で、タヴェッキオ前会長はせいぜい口の軽い木っ端役人というところだろう。

代表監督の候補は3人。

 気になる次期代表監督人事だが、特任コミッショナーは今後のアズーリの鍵を握るキーマンとして、ミランや代表のOBであるコスタクルタに白羽の矢を立てた。

 来年イタリアで開催されるU21欧州選手権の大会組織委員長という要職に就いているコスタクルタだが、新たにサッカー連盟の副コミッショナーの肩書きを得ると、次期代表監督選びに早速着手した。

 候補はマンチーニ(ゼニト)とコンテ(チェルシー)、そして暫定監督ディビアージョの3人に事実上絞られている。

「ネスタ、カンナバーロ、バッジョ、デルピエロ……現在のイタリアにかつての彼らのようなトッププレーヤーたちがいないのは事実だ。それゆえに我々が今必要としているのは、限られた戦力でもピッチで結果を出すことのできる真の名将だ。新監督の名前は、6月の頭には発表したい」

【次ページ】 本命はコンテだが、年俸は13.5億円。

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