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ショートトラック“黄金の右足”が。
坂爪亮介、平昌ラストレース後の涙。 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

PROFILE

photograph byRyosuke Menju/JMPA

posted2018/03/05 11:00

ショートトラック“黄金の右足”が。坂爪亮介、平昌ラストレース後の涙。<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA

転倒シーンが続出するショートトラックという競技。偶発的な要素があるとはいえ、坂爪の挑戦は意義深い。

「氷を押し返すパワーがないと」

 もっとも、男子500m決勝で39秒584の世界新記録を出した武大靖(中国)など、世界は高速化が進んでいる。今後、日本が世界のトップと伍していくには何が必要か。

 課題を聞かれた坂爪が強調したのは「パワー」だ。

「世界が混戦状態になっている中で感じたのは、パワーが必要だということです。スピード自体は変わらなくなっているのですが、氷を押し返すパワーがないとターンできない」

 もちろん、パワーだけではない。スピードも筋持久力もつけていかなければならない。今は、トレーニング方法も含めた改革が必要だと感じている。 

 最後のレースがリレーだったことで、試合後の言葉には悔しさがあふれていたが、個人種目で示した成長ぶりはもっと評価されて良いのではないか。

 そんな風に考えながら3日が過ぎ、2月25日の閉会式の取材となった。身長181cmと長身の坂爪は日本選手団の中で目立っていた。行進中は穏やかな表情の中に、楽しそうな様子も見られた。

「今回は1度目の五輪とは全然違った。五輪は良い舞台だと、肌でそう感じました」

 取材エリアで目を閉じながら、短くそう話していた姿が思い出された。

日本列島を熱くした活躍と感動の平昌五輪。Number947号『完全保存版 平昌五輪 2018総集編 17日間の神話』でぜひお楽しみください!
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