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ショートトラック“黄金の右足”が。
坂爪亮介、平昌ラストレース後の涙。

posted2018/03/05 11:00

 
ショートトラック“黄金の右足”が。坂爪亮介、平昌ラストレース後の涙。<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA

転倒シーンが続出するショートトラックという競技。偶発的な要素があるとはいえ、坂爪の挑戦は意義深い。

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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Ryosuke Menju/JMPA

 オリンピックとは人生を賭した数多の選手が集結する場であるとつくづく思う。

 Number「平昌五輪詳報号」のために取材した中で、五輪にすべてを懸け、珠玉の成績を残した1人としてこのページに記したい選手がいる。ショートトラック男子で、出場した全3種目において入賞を果たした坂爪亮介(タカショー)だ。

 坂爪にとって平昌五輪での最後のレースとなったのは、2月22日の男子5000mリレーB決勝。日本が今季W杯で6シーズンぶりに表彰台に上がり、誰もが意気込んでいた種目だった。

 ところがこのレースは坂爪の転倒で幕を閉じることになった。日本は7位入賞という成績だった。

「予選も決勝も自分が転倒して……」

 坂爪は2月13日に行われた予選でも転倒していた。痛恨の念を抱いているのは明らかで、目を瞑り、考え込むようにしながら言葉を絞り出した。

「転倒したときの状況はハッキリ覚えていないのですが、右足でターンしたときに踏ん張りきれなくて転んだのだと思う。予選も、B決勝も、自分の転倒でレースが終わってしまった。今季はリレーに割いてきた練習時間が長かったし、積み上げてきたものもあった。それなのに、予選も決勝も自分が転倒してパーになってしまいました。本当に申し訳ない思いでいっぱいです」

 自分を責めていた。そんな坂爪の横でチーム最年少18歳の吉永一貴は、「あれは坂爪さんが攻めてくれた結果。転倒したのはしょうがない」と先輩をかばった。

 坂爪はリレーB決勝の前に個人種目である500mの準々決勝、準決勝、そしてB決勝と、スプリントの3レースをこなしていた。ショートトラックの試合間隔は短く、勝ち進めば30分置きくらいですぐに次の出番がやってくる。リレーを迎えた時点でかなりの疲労がたまっていたことは想像に難くない。

 ただ、リレーメンバーが個人種目で滑ってからリレーを滑るという条件は他の国も同じだ。転倒もまた“チームの総合力”と言える。

【次ページ】 韓国に移住して培った「右足の技術」。

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