Number ExBACK NUMBER
羽生&宇野、平野vs.ホワイト。
白井健三も注目する4回転の未来。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/02/28 11:30
危険と隣り合わせの中、高いジャンプと連続4回転を敢行した平野。その挑戦心は観る者の心を揺さぶった。
体操・白井健三の興味深い視点。
奇しくも平昌五輪の前、体操のリオデジャネイロ五輪団体金メダリストの白井健三は、このように話していた。
「それぞれ、技術的にまったく違うと思うが、テレビを見ていて感じるのは、どの競技も難しいとされるのは『4』であるということ。『3』まではある程度の人が当たり前のようにこなせるが、あまり変わらないように見えて、どの競技も『4』だけは特別視されるんだなと、そういう感情を抱いている」
“ひねり王子”の異名を取り、'13年体操世界選手権の床運動で「後方伸身宙返り4回ひねり」を成功させたのが白井。面白いのは、彼が4回ひねりを成功させる以前は、日本体操学会で発表されてきた論文では「3回ひねり」が上限だったということだ。
今では4回ひねりを演技に組み込む選手が、多くはないが複数出てきている。誰かが限界点を超えればそれに続く選手が出てくるのがスポーツの常。白井は練習では4回半ひねりも行なっている。
羽生は4回転アクセルに挑戦するだろう。
羽生はフィンランドで行なわれた昨年の世界選手権終了後の会見で「科学的には、人は5回転までいけるらしい」と語り、今回の平昌五輪では「4回転アクセルだけが今のモチベーション」と、挑戦への意欲を示した。
実際に、すでにアイスショーの場でトライしたことがあり、成功までほんのわずかというところだった。
これまでのスケート人生で、言葉にしてきたことをすべて実現してきたリアリストの羽生のことだから、いずれどこかの公式戦で4回転アクセルを跳ぶことは間違いないだろう。