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羽生&宇野、平野vs.ホワイト。
白井健三も注目する4回転の未来。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2018/02/28 11:30
危険と隣り合わせの中、高いジャンプと連続4回転を敢行した平野。その挑戦心は観る者の心を揺さぶった。
ハーフパイプでは驚きの連続4回転。
スノーボード男子ハーフパイプ決勝で名勝負を演じた平野歩夢とショーン・ホワイト(米国)の戦いも、「4回転」がキーワードだった。
前回のソチ五輪では、ユーリ・ポドラドチコフ(スイス)が縦2回転横4回転「キャブ・ダブルコーク1440」を成功させ、金メダルに輝いた。当時、4回転を跳べていたのは数選手。平野も当時から跳べてはいたが、ソチ五輪直前に足首を負傷し、本番では封印していた。
ソチ五輪で銀メダルだった平野は、平昌五輪での高難度化を確信し、4回転の連続技に取り組んでいった。昨年3月にはこの技で失敗した際に左膝の内側側副じん帯を損傷し、腹部を強打して肝臓も痛めたが、平昌五輪では恐怖心にも打ち勝って連続4回転を成功させた。
迫り来る平野に負けじと、ホワイトも2連続4回転に挑んだ。結果は僅差で制したホワイトが金、平野が銀だった。
ハーフパイプは'98年長野五輪から正式種目になって20年がたち、競技として成熟してきた感がある。この先の高難度化はあるのか。
平野は「4回転3つが必要だと思う」。
19歳にして2大会連続銀メダルという大活躍を見せた平野は懐疑的だ。
「これから自分の競技のレベルをさらに上げるのは相当難しいことになると思う。自分でも、今後に何をしようか、作戦を組み立てている途中。ただ、これ以上の回転はどうか。ハーフパイプでは限界まで来ているのが現状だと思う」
決勝戦翌日の2月15日にあったメダリスト会見でこのような見解を示しつつ、将来の展望としてこのように語った。
「今後、ハーフパイプで勝ち続けるのであれば、今できること(4回転)の高さや完成度に加えて、1440(4回転)を3つ入れることが必要だと思う」
平野とホワイトの高次元バトルが火付け役となり、日本でも関心の高まっているハーフパイプ。北京五輪に向けて、どんな戦いになっていくのか、興味深い。