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4度目五輪、集大成で競技種目転向!
スノーボード藤森由香は動揺しない。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2018/02/15 08:00
2006年トリノ大会から五輪に出続けてきた藤森。その経歴は日本スノーボード女子の“レジェンド”だ。
「まだ完全燃焼ではありません」
当時から抱き続けたスノーボードへの思いが、長い競技生活、そして種目を転向しての活躍を支えてきた。同時に試合前後の落ち着き、ふるまいは、数々の経験を積んできたからこそだ。試合へ向けての取り組みにもそれが表れている。
「まずは自分の練習してきた技を出すためにイメージを作る。その上で、(危険を)回避するためには風のコンディションを見て練習しないといけないと思っていました。ほかのチームでもスピードが足りなかったり、スピードがつきすぎて怪我をした選手がたくさんいたので」
とはいえ、種目を転向して代表をつかむのは容易なことではない。次の言葉には、転向後の時間が込められているようだった。
「本当に日本代表としてこの場に立てたことというのが私にとっては一番嬉しいことです。もちろん結果は出したかったんですが、まずはこの場に立たせてもらえたことに感謝しています」
思いが変わらないことを物語るように、スノーボードそのものから離れることはないという藤森だが、今大会をもって、オリンピックのような大きな大会に出る競技生活からは退くことを表明している。
残るは2月19日に予選が行なわれるビッグエア。
「まだ完全燃焼ではありません。自分のやれることをやる、技を出したいです」
完全燃焼しきったと思えるパフォーマンスを。
スノーボードに生きる藤森は、その思いとともに臨む。