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4度目五輪、集大成で競技種目転向!
スノーボード藤森由香は動揺しない。

posted2018/02/15 08:00

 
4度目五輪、集大成で競技種目転向!スノーボード藤森由香は動揺しない。<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

2006年トリノ大会から五輪に出続けてきた藤森。その経歴は日本スノーボード女子の“レジェンド”だ。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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Kaoru Watanabe/JMPA

 初めて出場する若い選手がいれば、何度も出場を重ねてきた選手がいる。その中には、過去の大会での雪辱をかけている選手がいれば、新たな気持ちとともに挑む選手がいる。

 スノーボードの藤森由香もまた、そんな1人だ。

 今大会、スロープスタイルとビッグエアの2種目に出場している藤森は、2月12日、スロープスタイルの決勝に臨んだ。前日の予選は強風により中止。全選手がそのまま決勝で競う形式となったこの日は、予選の日以上ではないかとも思える強風のもとでの試合となった。

 案の定、最初の選手から転倒が相次ぐ。

 その中にあって藤森は1本目、安定したパフォーマンスで失敗なく終える。続く2本目は、「最後のジャンプで、すごい風を受けてしまってスピードが乗らなかった」こともあって失敗。1本目を上回ることはできなかった。得点は1本目の63.73がベストスコアとなり、9位で終えた。

予選中止後も観客の撮影に笑顔で……。

 試合後、藤森は笑顔を見せた。

「最後のジャンプまでしっかりスピードをつなげました。自分のやりたい技の70%くらいまでできたので、まずはよかったなという気持ちです。(1本目は)1個目のジャンプでスピードが足りなくて、即座にルーティン(技の構成)を変えないといけないなということで、あのルーティンに変えました」

 1本目は、本来予定していたルーティンから難度を下げる内容にしたと言う。悪条件のもとでの冷静さが功を奏し、入賞まであと一歩となる9位を手に入れた。

 試合だけではなく、前日、予選が中止となったあとは、帰り際に観客との写真撮影にも応じた。その時間は15分ほどに及んだという。

 強風による中止というアクシデントに動揺してもおかしくない中で、笑顔で応じる姿は、試合での落ち着きとも通じる。それは過去の経験と、スノーボードへの思いから築かれたものだった。

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