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宮崎・日章学園、中高一貫の育て方。
選手の8割が内部進学、Jリーガーも。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2018/01/20 17:00
高校選手権では数多くのスターが生まれる。一方で日章学園のような取り組みもユニークかつ注目に値する。
6年間同じメンバーとの信頼関係と、特徴の把握。
「6年間同じメンバーということで、スタメンはもちろんお互いの特徴を分かっています。もちろんサッカー以外の時間でも6年間一緒の仲間といるから、その仲間との信頼関係を感じ取ってプレーできているんです。
自分自身について言うと、小学校ではトップ下、中学校ではボランチやサイドを務めることが多かったです。その頃からドリブルは得意だったので、仕掛けるプレーはよく狙っていました。監督は中学校の頃から自分のプレーを見てくれていて、それで新チームになってから、本格的にFWとして使われるようになりました。監督も元々FWだったから動き方を教えてくれて、学ぶことは多かったです。プロに行けたのはFWになったから、という実感は……ありますね」
中学校の頃から佐藤をチェックし、早稲田監督は彼のストライカーとしての才能に気づいていた。それを、高校最後の1年で発揮してもらおうと考えたに違いない。FW起用された佐藤は得点への意欲を強め、選手権での活躍、そしてJリーガーへと自らの道を切り開いた。
これは早稲田監督としても、指導者冥利に尽きるだろう。
宮崎県内でサッカーをしたい子が1人でも増えたら。
3回戦では地力で勝る流通経済大柏に押し込まれ、前半にカウンターから佐藤のポスト直撃シュートなどがあったものの、0-1で敗戦。スコア以上の差はあったことは否めない。
それでも早稲田監督は、最終的に準優勝した相手との80分間に、大きな手応えを感じていた。
「流経柏さんとの差はやはりあったなと。それでも選手たちはよくやってくれましたよ。こういった試合をすることで、宮崎県内でサッカーをしようという子が1人でも増えてくれたら嬉しいし、意義深いですね」
今回の奮闘によって、早稲田監督のもとでサッカーをしたいという選手は増えるだろう。その積み重ねが日章学園の未来につながっていく。