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宮崎・日章学園、中高一貫の育て方。
選手の8割が内部進学、Jリーガーも。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2018/01/20 17:00
高校選手権では数多くのスターが生まれる。一方で日章学園のような取り組みもユニークかつ注目に値する。
中学出身が9割を占めるチームで、全国を戦いたい。
早稲田監督は指導方針や理念について、このように続ける。
「私が中学生に求めているのは止める、蹴るを含めた基礎的な技術ですね。そこを大事にしながら、中学時点から勝負にもこだわるスタンスで考えています。
もちろん中高一貫で育てた選手に加えて、高校から入った質の高い選手が融合するのがベストなのかな、と考えることもあります。ただ中高一貫校だからこそ、中学出身の子が9割を占めるチームを作って全国を渡り歩きたい気持ちもある。甘い考えかもしれませんが、それを実現したい」
Jリーグ北九州内定の佐藤颯汰は3ゴールと活躍。
その取り組みの中で成長し、新たなステップへ踏み出す選手もいる。今大会で10番を任された佐藤颯汰(さとう・そうた)は、J3のギラヴァンツ北九州入団が決まっている。1回戦で2ゴール、2回戦の佐賀東(佐賀)戦でも同点ゴールを奪い、2試合で3ゴールと日章仕込みの力を見せつけた。
佐藤の持ち味はスピード感あふれるドリブルと、オフザボールの動き出し。彼が「ストロングポイントを出しきった」のは2回戦の同点ゴールだった。
ハーフウェーライン付近でボールを奪うと、そのままドリブル突破に入る。相手マーカー4人を揺さぶって、股抜きシュートを流し込んだ。その後チームは佐藤のアシストで勝ち越して勢いに乗り、4-1。エースの働きあってこその快勝だった。
佐藤は1回戦は「50点」、2回戦では「60点」と話すなど、厳しく自己採点していた。その一方で中学時代から日章学園にいたメリットについて聞かれると、特徴を見出してもらったことへの感謝を口にした。