“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
前橋育英サッカー部監督にして校長。
山田耕介の真っ直ぐな人生を考える。
posted2018/01/16 11:00

前橋育英高校の校長室で撮った、山田校長の貴重なワンショット。背後には沢山の表彰状・トロフィーが並ぶ。
text by

安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
前橋育英高校サッカー部監督であり、前橋育英高校の校長先生。
2つの顔を持つ山田耕介監督に、新たな顔が加わった。
第96回全国高校サッカー選手権大会決勝で、同じ関東の流通経済大柏を後半アディショナルタイムの劇的決勝弾で下し、初優勝を果たした。
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全国高校サッカー選手権大会優勝監督。
新たな勲章が加わった山田監督は、真冬の埼玉スタジアムのピッチで何度も宙に舞った。
山田監督は高校サッカー界トップレベルの名将と言って良い。全国制覇こそ2009年のインターハイと、今回の選手権で2回目だが、輩出したJリーガーは山口素弘(現・名古屋グランパスアカデミーダイレクター)、松田直樹(故人・松本山雅)というW杯戦士や、松下裕樹(現・ザスパクサツ群馬)、青木剛(現・ロアッソ熊本)、細貝萌(現・柏レイソル)、青木拓矢(現・浦和レッズ)、田中亜土夢(現・セレッソ大阪)、六平光成(現・清水エスパルス)など、その数は100人を越える。
実は日本におけるJリーガー輩出数は前橋育英が日本一。そのすべてが、山田監督が36年の歳月を掛けて送り出してきた選手と言える。
つまり“強豪・前橋育英高校サッカー部=山田耕介”なのだ。
大事なのは「人間として立派にずっとやっていけるか」。
「やっぱりサッカーの指導者なんだけども、人材育成が重要だね。それが僕らの仕事なのかな……。
サッカー部の監督というのは、レギュラー云々、サッカーが少しうまいからどうこうではなく、人間として少しでも成長して欲しいといつも考えているもの。そのために、自分たちが少しずつ選手たちが人生を形成していく手助けをする、というね。
世の中、プロになれるのは本当にごく僅か。ほとんどの選手は普通に大学に行って、会社に勤めて、働いていくわけだ。サッカーも趣味としてやるのか、観戦に行くのか、それとも選手ではなく、指導者やトレーナーなど、サッカー周辺で働くのかとね、いろいろある。
大事なのは、サッカーのうまい下手よりも、人間として立派にずっとやっていけるかなんです。サッカーは子供を大人にするし、大人をジェントルマンにする。それを手助けすることが、我々の仕事なんです」(山田監督)