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星野仙一は高校生重視の監督だった。
中日、阪神、楽天でのドラフト戦略。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2018/01/21 11:30

星野仙一は高校生重視の監督だった。中日、阪神、楽天でのドラフト戦略。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

星野仙一が監督時代に指名した選手たちが、現在の楽天を支えている。ドラフトは、チームのその後10年を左右するのだ。

星野のドラフト戦略を作った、根本の高校生重視。

 他球団はどうだろう。この7年間、上位指名された野手で目立つのは金村義明(近鉄)、平田勝男(阪神)、木戸克彦(阪神)、池山隆寛(ヤクルト)、白井一幸(日本ハム)、小早川毅彦(広島)、湯上谷宏(南海)、広沢克己(ヤクルト)、秦真司(ヤクルト)、正田耕三(広島)、荒井幸雄(ヤクルト)、広瀬哲朗(日本ハム)、土橋勝征(ヤクルト)、山崎武司(中日)、立浪和義(中日)の15人で、高校卒は金村、池山、湯上谷、土橋、山崎、立浪の6人。

 それが西武は1球団だけで、伊東勤(所沢高夜間、捕手)、笘篠誠治(上宮・内野手)、大久保博元(水戸商・捕手)、田辺徳雄(吉田・遊撃手)、清原和博(PL学園・一塁手)、山野和明(鎮西・外野手)、中村日出夫(三養基・内野手)、鈴木健(浦和学院・一塁手)、上田浩明(北陽・遊撃手)という9人の高校生野手を上位で指名している。

 このうち伊東、清原、田辺、鈴木は黄金時代の中心選手に育ち、笘篠も渋いバイプレーヤーとして長くチームを支えた。

 星野と組んだ時代の岡田は、西武ほどではないにせよ、やはり多くの高校生を上位で指名している。ちなみに星野が監督に就いていたのは、中日第1期('87~'91年)、中日第2期('96~'01年)、阪神('02~'03年)、楽天('11~'14年)である。

 星野が監督としてドラフトを陣頭指揮した時代の指名は次の通りだ。

<第1期中日時代(ドラフトにタッチするのは監督就任前年から)>
86年 1位・近藤真一(享栄高・投手)、2位・山崎武司(愛工大名電高・捕手)
87年 1位・立浪和義(PL学園高・遊撃手)、2位・鎌仲政昭(神戸高・投手)
88年 1位・今中慎二(大阪桐蔭高・投手)、2位・大豊泰昭(名商大卒、一塁手)
89年 1位・与田剛(NTT東京・投手)、2位・井上一樹(鹿児島商高・投手→外野手)
90年 1位・小島弘務(元住友金属・投手)、2位・矢野輝弘(東北福祉大・捕手)

 第1期中日監督の5年間、1、2位で指名した10人のうち高校生は6人を数え、そのうち山崎、立浪、今中、井上は中心選手として長くチームを支えた。第2期中日監督時代もその姿勢は変わらない。

<第2期中日時代>
95年 1位・荒木雅博(熊本工高・遊撃手)、2位・門倉健(東北福祉大・投手)
96年 1位・小山伸一郎(明野高・投手)、2位・森野将彦(東海大相模高・遊撃手)
97年 1位・川上憲伸(明治大・投手)、2位・森章剛(藤蔭高・外野手)
98年 1位・福留孝介(日本生命・三塁手)、2位・岩瀬仁紀(NTT東海・投手)
99年 1位・朝倉健太(東邦高・投手)、2位・福沢卓宏(滝川二高・投手)
00年 1位・中里篤史(春日部共栄高・投手)、2位・洗平竜也(東北福祉大・投手)

 6年で1、2位で指名した高校生は12人のうち7人と多く、そのうち荒木、小山、森野、朝倉が中心選手に育ち、'90年代は1番立浪、2番種田('89年6位)、3番大豊、5番山崎、7番井上というスタメンが多く見られ、荒木、立浪、森野、井上らは落合博満が監督に就いた'04年以降も中心選手だった。落合が築いた黄金時代は星野の遺産あってのもの、と言ったら言い過ぎだろうか。

【次ページ】 阪神ではなりを潜めたが、楽天でも高校生が半数。

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