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もし東芝が野球部を閉じていたら……。
社会人に進む学生数はプロの4倍! 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byKyodo News

posted2017/12/12 08:00

もし東芝が野球部を閉じていたら……。社会人に進む学生数はプロの4倍!<Number Web> photograph by Kyodo News

Bリーグのバスケットボールチームを手放した東芝だが、野球部とラグビー部は雇用の維持も含めて存続が決定された。

東芝の象徴の1つである野球部の命運。

 そうした東芝の象徴が次々と姿を消す中で、やはり間違いなく象徴の1つであるはずの「東芝野球部」も同様の運命ではないのか……最も心を痛めたのは、社業に励む野球部OBたちだった。

 野球研修生1年ちょっとのおかげさまで、現在も野球部OBたちとの付き合いは続いている。

 東芝の現役社員として働く野球部OBは、200人近くに及ぶ。世界に網の目のごとく張り巡らされた営業網の中で、責任ある中堅として活躍する野球部OB社員の数も多い。

 いちばん多いときで200以上あった社会人野球のチームが、この20年ほどの間に80数チームに減ったのは、経済が長々と低迷する中で“合理化”という費用減らしの矢おもてに立たされたからだ。

野球部OBが会社に貢献し、敬意を持たれているか。

 しかし、たとえば野球部に年間2億の費用がかかるとして、東芝の年商を2017年3月時点の4兆円以上で計算すれば2万分の1。年収600万の家庭で“300円”をどうするのか……そういう話だ。

 どこの企業もそれぞれの身の丈に見合った野球部予算でやっているはずだから、お金が理由にはならないはずだ。

 いざ! という時に、つぶされるのか、残っていくのか。その分かれ目は、野球部のOBたちが社業でどれだけ会社に貢献しているか。そしてそのことを、周囲の社員たちがどれだけ認めて、野球部OBと野球部そのものにどれだけ敬意を抱いているか。その一点に尽きる。

 JX-ENEOS(横浜市)、トヨタ自動車(豊田市)、Honda(狭山市)、東京ガス(東京都)、日立製作所(日立市)……野球部OBが社業の現場でも活躍し、相応の役職に就いて組織を牽引する。そうした現実の積み重ねから、野球部が企業の誇りとなって、消長激しい社会人野球の中で存続を続けている。そういう“証言”を、私はいくつも耳にしてきている。

 ならばもし今回、東芝野球部が看板を下ろしてしまっていたら、どうなっていただろう。

 そこには、怖ろしい想像が待っている。

【次ページ】 東芝ほどの老舗なら、横並びの連鎖反応が必ず起こる。

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