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浦和が初体験する「アウェーのCWC」。
開催国枠とアジア王者の立場の違い。 

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轡田哲朗

轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada

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posted2017/12/09 08:00

浦和が初体験する「アウェーのCWC」。開催国枠とアジア王者の立場の違い。<Number Web> photograph by AFLO

開催国枠と大陸王者では、トーナメントの開始位置も周囲の視線も大きく異なる。浦和はアジア王者の意地を見せることができるか。

Jクラブにとって、CWC初の“アウェーゲーム”。

 だからこそ、大陸王者として正規のステップを踏んだ上で、Jリーグ勢として9年ぶりに出場する浦和には、その間に好成績を残したチームとは違った使命がある。アジアのトップレベルにあるクラブチームの実力はどれほどのものか、という視点で世界から見られるということを忘れてはならない。

 今大会の組み合わせが発表された時点で、アジア王者が初戦に勝利すれば、欧州王者の座に輝いたレアル・マドリーと対戦できることが決まっていた。逆のブロックには、本田圭佑が今年の夏に加入した北中米カリブ海王者パチューカも出場する。

 浦和がACLを制覇すると、早速こうしたチームとの対戦への意気込みを聞く質問が選手たちに投げかけられた。

 しかし、槙野智章はそうした気の早い質問を制するようにこう話した。

「皆さん、レアルやパチューカと言いますけど、1つ勝たなければ何も始まりません」

 槙野の言葉は正鵠を得ている。開幕戦の結果によりアルジャジーラと対戦することが決まった浦和だが、Jリーグ勢が海外で開催されるクラブワールドカップに出場するのは初めてのことだ。当然、開催国代表との“アウェーゲーム”を戦うのも初めてのことになる。

 前述したようにJリーグ勢が日本開催のCWCで躍進し、モロッコ開催の時には地元のラジャ・カサブランカも準優勝を果たしている。当然、その陰には敗れた大陸王者が存在するわけだ。どうして、浦和がその立場にならないと言えるのだろうか。初戦のプレッシャーは、過去に経験のないものになるはずだ。

「アジアから世界へ」を現実のものに。

 だが、こうした立場を日本で初めて経験するチームが浦和であるのは、必然であるようにも思える。ACLが出場するだけで大赤字になるような大会だった初優勝の時から、浦和はチャーター便の利用など選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できるようにサポートし、高い本気度を向けてきた。

 そこには「浦和からアジアへ、アジアから世界へ」というクラブの矜持があり、プライドは受け継がれている。

 その思いは熱狂的で知られる浦和のサポーターも共有していて、スタジアムでは「世界に見せつけろ」という歌が響き渡る。そして今大会は、先駆者として好成績をつかみ取る大きなチャンスだ。

 10年の時を経てクラブワールドカップに舞い戻るチームには「アジアに浦和あり」ということを示すゲームを見せて欲しい。

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