プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ビッグデータを制するのは阪神?
甲子園で高校生のデータ取り放題か。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/12/08 11:10
今夏の甲子園で1大会最多本塁打を放った中村奨成。彼のような選手が今後出た際、ビッグデータでの解析が進むのかもしれない。
数千万円レベルの資金投資が必要と言われる。
すでにパ・リーグはロッテ以外の5球団が導入して、そのロッテも来季から本拠地のZOZOマリンスタジアムと二軍が本拠を置く浦和球場への設置を決めた。またセ・リーグもDeNAに続いて今季から巨人の本拠地・東京ドームにも設置され、来シーズンには阪神、中日も導入を決定。残るは広島とヤクルトの2球団というのが現状である。
資金的にはトラックマン単体は数百万円程度だが、金属製のバックネットだと計測用のレーダーが使用できないために、バックネット等の球場施設そのものの改装なども必要になる。またこのシステムを導入すると、他球場でとったデータも共有することができる。要は他チームのデータも利用できるようになるのだ。
そうなるとデータをいかに解析して有効利用できるかは、アナリストの腕ひとつと言われている。そうした有能なアナリストを複数確保するとなると、施設費などと合わせて数千万円レベルの資金投資が必要になる。
ストレートの回転数によって「キレ」を判断できる。
それではトラックマンで得られるデータを基に、どういう活用法があるのか? 投手なら、例えば自分のストレートがシュート系なのかスライダー系なのか、また回転数がどれくらいなのかを知ることができる。回転数で言えば大リーグの平均値が毎分2100回転と言われ、これを超えるといわゆる「キレのある球」という部類になる。
そういうデータがフォーム改善などへのきっかけにもなるわけだ。また各審判員による左投手と右投手別の判定傾向を分析して、配球の組み立てに役立てているチームもある。
要はトラックマンのデータは日々の試合で勝つためにも利用でき、また選手の技術向上や怪我の予防などにも役に立つ。そしてもうひとつ、大事なのが編成面でも活用の幅が大きく広がるということだ。
実は来季からトラックマンシステムを導入するチームで、他球団の熱視線をあびているのが阪神だった。