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20歳、40歳、元代表が必死に……。
Jトライアウトは選手生命の瀬戸際。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2017/12/08 17:30
トライアウトで必死のプレーを見せた塩沢(右)。35歳の苦労人の眼光はいまだ鋭かった。
たった1試合でも、日本代表の肩書は重い。
やがてメンバーから外されるようになり、現状打破のために出場機会を求め、移籍を志願した。
「チームメイトやスタッフとコミュニケーションを取り、クラブに対する愛着を深めながらプレーしたかった。でも、半年か1年で移籍を繰り返すことになって。特に後ろのポジションの選手は戦術的な部分で根幹になり、まとめ役を務めることが多い。その点では、同じチームで長くやっている人のほうが有利で、いざというときは監督からの信頼感が差となって表れます」
行く先々で、日本代表の肩書は注目されたに違いない。たったの1試合。だが、その事実は重い。
トライアウトを活用しているのはJ2の中位以下。
もっとも、坂井はまだ27歳と若く、豊かな伸びしろが見込める。左利きのセンターバックという希少性の高さも売りになるはずだ。トライアウトをきっかけに、キャリアの再浮上を描いた選手は過去に何人もいる。
「鳥栖で一緒にやらせてもらった丹羽竜平さん(現・鹿児島ユナイテッドFC)がそうですね。トライアウトを経験して鳥栖に加入し、J1昇格、そして定着していくチームの中心選手になった。だから、自分もここからだとポジティブに捉えています」
現実的に、トライアウトを補強に活用するクラブは、J2の中位以下がほとんど。カテゴリーが下がるほど貴重な戦力になる。今季のJ3を制したブラウブリッツ秋田は、昨年のトライアウトで有薗真吾と江口直生を獲得。有薗はリーグ戦32試合にフル出場し、優勝の原動力となった。