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なぜガンバU-23は機能不全だったか。
宮本恒靖監督「選手が揃わない」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/12/01 10:30
FIFAマスターも卒業した宮本恒靖監督はエリートである。しかし、現場で叩き上げる経験もまた彼を強くするのだ。
ユースとトップチーム双方に選手をとられ……。
ただ個として目立つ選手はポツリポツリ出てきても、チームとしては、やはり寄せ集め感が否めない。宮本監督は「セカンドチームなので、選手のやりくりは簡単じゃなかった」とチーム編成のむずかしさを吐露したが、ベンチメンバーは18名ではなく16名で、サブはほとんどがユースの選手だった。
彼らはユースが主戦場なので、U-23チームにいつもいるわけではない。たとえば、ある試合で課題が見つかったら普通のチームは翌週に向けてその課題をクリアするための練習をするものだが、U-23の場合は選手がユースに戻ったり、主力選手をトップに抜かれたりと、同じメンバーで継続性を持ってチームを進化させていくことが難しいのだ。
こうした状況になったのは、クラブの運営方法にも理由があった。
今年ガンバは、トップとU-23を完全に分離して活動させてきた。練習時間もトップは午前中、U-23は午後と振り分け、チーム間での交流がなくなってしまった。
トップは怪我人が出れば当然U-23から選手を引き抜くし、トップでの試合出場の有無にかかわらず、U-23起用に制限をかけた。
たとえば中原彰吾は20節までU-23の主力でプレーし、中心選手として機能していた。
だが21節からトップに上がり、それ以降は試合出場の有無にかかわらず、U-23ではプレーしていない。トップで試合に出なかった選手がU-23でプレーできればいいのだが、それが可能ではなかったのだ。
宮本「自分のキャパは確実に広がったかなと」
これでは逆に選手の成長の妨げになり、チームを良くしていくことはもちろん、継続的にチーム創りをしていくことは難しい。
「そういう経験も、自分のキャリアにプラスにするようにしている」
宮本監督は、そう言った。
一昨年は、U-12を指導した。昨年はU-18の監督になった。そして今年、U-23の監督としてJ3を戦った。厳しい状況下での指揮は彼のキャリアに、どうプラスになったのか。
「少人数でどうやって練習し、どう鍛えていくのか。今いる選手でスタメンを編成し、どう力を発揮させるかとか、なかなか経験できないいろんな取組ができた。同じメンバーで戦えないとか、1年間ストレスを感じることがあったけど、自分のキャパは確実に広がったかなと思います」