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なぜガンバU-23は機能不全だったか。
宮本恒靖監督「選手が揃わない」

posted2017/12/01 10:30

 
なぜガンバU-23は機能不全だったか。宮本恒靖監督「選手が揃わない」<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

FIFAマスターも卒業した宮本恒靖監督はエリートである。しかし、現場で叩き上げる経験もまた彼を強くするのだ。

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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 ガンバ大阪U-23がJ3リーグの全日程を終えた。

 32試合7勝5分20敗、31得点、65失点で16位。開幕から5連敗を喫し、初勝利を挙げたのは6試合目。8月末からは8連敗を喫するなどドン底の1年間だった。今シーズン、新しいステージでのかじ取りを任された宮本恒靖監督にとっては不本意な成績だろうが、2017年シーズンの戦いをどう感じたのだろうか。

「いろんな意味で難しいシーズンだったと思います」

 宮本監督は厳しい表情で、そう言った。

 その表情は、1年間をやり切ったというよりも、思うようにできなかったことへの悔しさがにじみ出ていた。

 では、いったいどういう部分に難しさを感じていたのだろうか。

「選手がなかなか揃わなかった。クラブは育成をテーマにスタートし、自分はプラス結果を求めてやってきたんですが、シーズン当初は高校を出たばかりの選手やユースの選手がJ3のスピードやパワーに戸惑ったりして、なかなか難しかった」

 J3といえども、SC相模原のようなチームにはJ1、J2経験者がおり、肉体的にも完成した選手が多い。ユース上がりや高校上がりの選手がそういう選手と対峙した時、どうなるかは容易に想像がつく。それは成績にもはっきりと表れている。特に開幕から5試合はすべて完封負けで、1点も取れなかった。J3のレベルに全くついていけなかったのだ。

徐々にJ3のレベルに適応する選手も現れ始めたが。

「ただ、夏ぐらいから個々に成長が見られるようになり、それが試合にも出るようになった。それが自信になってシーズン終盤は負けなくなったし、連勝もできた。チーム全体としてシーズン当初は球際で負けていたけど、今は負けずにやれるようになった。これはポジティブにとらえていますし、あと10試合ぐらいあれば、もっといいサッカーが見れたと思います」

 シーズン終盤にはJ3レベルのスピードやフィジカルに慣れて、若い選手も良いパフォーマンスを発揮できるようになった。SC相模原戦で2ゴールを挙げた一美和成も、相手の守備に負けない強さと巧さが出てきた。森勇人もYS横浜戦で1ゴール2アシストで勝利に貢献するなど、存在感を発揮する選手は登場しだした。

【次ページ】 ユースとトップチーム双方に選手をとられ……。

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