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源田壮亮から始まった西武走塁の輪。
いまや盗塁数はパで断トツの129に。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2017/11/22 11:30
ルーキーながら遊撃手の定位置を確保した源田の活躍がチームに相乗効果を生んだ。
対戦相手の西武対策すらも試合中に織り込んで。
対戦するピッチャーのクイックモーションや、けん制時の癖などのデータは、試合前のミーティングで頭に入れておく。しかしその傾向と、当日の試合では状況が変わる場合も多い。
「シーズン中、試合を重ねるうちに“ライオンズは走ってくる”というデータを見て、相手がいろいろと変えてくることは多かったです。脚を警戒してクイックモーションを多用したり、クイックやけん制を改善してくるピッチャーが増えました。そこで、それに対応するために、実際に塁に出た選手が、すぐにそういった情報をベンチで伝えていました」(秋山)
2017年シーズンのライオンズは、試合中に感じたことを選手同士で話し合い、すぐにチーム全体にフィードバックしていたのだ。
走るのが苦手な山川穂高も、「なんとか貢献したい」。
そして盗塁の数と同様に変化を見せたのが、走者の意識だ。
それは源田、外崎、金子、秋山ら脚力のある選手以外の、「走ることに自信がない選手」の走塁に対する意識づけである。
佐藤友亮・外野守備・走塁コーチは「走るのが苦手」な選手にこう言った。
「もし自分が打席にいて、ヒットを打ったとする。セカンドの走者がホームまで戻れなかったら、どう感じる?」
体重100キロを超えるホームランバッター、山川穂高は語る。
「コーチからは“とにかくスタートを意識してくれ”と言われます。まずはリードの幅と、第2リード(ピッチャーが投げてから)の幅、それからスタート時の判断です。ライナーなのか、フライなのか。ゴロがどこに飛んだのかをしっかり見極めるよう言われています。僕の場合はどう頑張っても盗塁はできないので、せめてひとつでも先の塁に行けるようにしないと……。
僕がバッターでヒットを打ったとき、ちょっとこの当たりだと、どうかなという打球でも、走者がホームに帰ってきてくれたら僕の打点になるじゃないですか。今年は源田がそうやって帰ってくれることが多くて、やっぱり、うれしいんですよね。そういうことがあると、自分もランナーで出ているときに、なんとか貢献したいなと思いますよ」
まだまだ足を引っ張ってばかりだとシーズン中、山川は反省していたが、そういった意識付けが積み重なってチーム全体に「次の塁をねらう」意識が浸透してきた。