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この0-1は「惜敗」と呼べるのか。
ロシアW杯の展望は限りなく逆境。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2017/11/15 12:10

この0-1は「惜敗」と呼べるのか。ロシアW杯の展望は限りなく逆境。<Number Web> photograph by Getty Images

ブラジル戦ほど絶望的ではなかった。しかしベルギーに勝つ方法があったかと問われれば難しいといわざるをえないのが事実だ。

1点差だから「惜しい」のは確かだが、勝算はあったか。

 この試合には「惜敗」という表現も使われるはずだ。1点差だから「惜しい」のは確かなのだが、日本に勝算はあったのか。

 なかった、と言わざるを得ない。攻撃の目的はゴールを奪うことだが、二次的には「抑止効果」の意味もある。相手のゴールを脅かすことは、サイドバックやセントラルMFの攻撃への関わりを制御することにつながる。ブラジルのカウンターを浴びた日本が、自陣から飛び出していくことにためらいを覚えたように、である。

 チャンスを作ることはできても散発でしかなく、得点にも至らないベルギー戦のような攻めでは、抑止効果は見込めない。相手はリスクを恐れずに攻め続け、やがては失点を喫する展開が思い浮かぶだろう。

 ベルギー戦で機能した守備にしても、W杯でそのまま通用するとは考えにくい。日本をスカウティングした相手なら、有効な対策を用意してくるからだ。

ロシアW杯の成算は限りなく黒に近いグレー。

 W杯の組み合わせ抽選でポット1と呼ばれる第1シードから勝点を奪うのは、恐ろしく困難なミッションであることが今遠征ではっきりした。第2ポット以下の国から勝点をつかむことも、同じくらいに厳しい。

 自分たちの立場をはっきりと認識させられた意味において、「これで良かったのだ」と言うことはできる。ただ、ロシアW杯での成算を色にたとえれば、限りなく黒に近いグレーである。課題は数多く、時間は少ない。

 W杯における「惜敗」は、何の意味も持たない。「善戦」しても勝点を得られなければ、自分たちの立場は苦しくなるばかりである。

 打開策がないわけではないものの、そのためには発想を転換しなければならない。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が覚悟を決め、選手たちが納得する必要がある。

 現時点ではっきりと言うべきことがあるならば、このままではブラジルW杯のリベンジを果たすのは難しい、ということである。

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