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清宮プロ志望でドラフトが読める?
12球団の思惑、単独1位候補は誰だ。
posted2017/10/16 11:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
清宮幸太郎(早稲田実・一塁手)のプロ入り表明で1位指名の情勢が読みやすくなった。
その清宮には野茂英雄、小池秀郎の8球団を上回る1位入札があるのではと言われている。ただ清宮が守る一塁は外国人や日本人でもベテランが就くことが多く、たとえば西武では今季、浅村栄斗、メヒア、山川穂高の2人が50試合以上このポジションに就き、動きの鈍くなっている中村剛也も本来は指名打者以外では一塁が適性ポジションである。
オリックスも事情は一緒というか、西武以上に一塁を守った選手が多い。T-岡田54試合、小谷野栄一49試合、マレーロ46試合、中島宏之39試合と満杯だ。レギュラーが決まっていないから清宮が必要という意見もありそうだが、西武もオリックスも一塁手に実力者が多いことは間違いない。そういう中で本当に清宮を必要としているのか、私にはどうしてもそうとは思えない。
では本当に清宮を欲しているのはどこかというと巨人、阪神、DeNA、ソフトバンク、日本ハムの5球団が浮かび上がってくる。
清宮が是が非でも欲しい5球団と、中村の評価。
巨人は若手が台頭する機運を、清宮獲得で作り上げたいというのが真の狙いだろう。阪神もドングリの背比べ状態から抜け出せない、若手への刺激剤というのが本来の狙いではないか。
DeNAは近い将来に訪れるだろう筒香嘉智のMLB移籍に備えた後任候補、日本ハムは中田翔、大谷翔平が移籍した場合の大砲候補と、この2球団は動機が切実である。ソフトバンクからはそれほどの切迫感は感じられないが、「数年に1人」の逸材から手を引くわけにはいかないという王者の意地のようなものが感じられる。
中村奨成(広陵・捕手)はどうだろう。甲子園のあとに行われたU-18ベースボールワールドカップの不振からマスコミは評価を下げているが、甲子園で見せた走攻守のレベルは近年に見られなかったほど高レベルで、あるスカウトは谷繁元信(元中日など)以来と言い、私は城島健司(元ダイエーなど)以来の逸材と思っている。いずれにしても数十年に1人の逸材であることは間違いなく、捕手不足の中日や地元広島の1位入札があっておかしくない。