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五十嵐、川村、そしてレジェンド折茂。
Bリーグとホームタウンの幸福な関係。
text by
瀬尾泰信(Number編集部)Yasunobu Seo
photograph byYuki Suenaga
posted2017/09/21 17:30
日本バスケットボール界の顔であり、Bリーグ初代王者栃木の中心である田臥勇太。彼の存在が、多くの選手の手本になっている。
生きる手段だったバスケが、いつしか……。
え? ここまで現役を続けているのに?
「ひねくれてるんです。コートには戦いに行くのであって、愛なんて必要ない。たまたまバスケやったら身長が大きくなって、それなりに出来て、高校大学もそれで行けて、トヨタに入れて、日本代表にもなって、という──ぼくにとってバスケは生きる手段でしかなかったんです。とにかく自分本位で、誰かのために、なんて思ったことは一度もなかった」
そのかたくなな思いが、北海道の地で大きく変化した。
「ぼくの全盛期はトヨタ時代だった。北海道では、これまであまりチームを勝たせることができていない。でも北海道の人たちは、本当にぼくを必要としてくれる。それがすごく伝わってくる。(クラブの前身だった)レラカムイ北海道が経営危機に陥った時もそうでした。だから、そんなにぼくを必要としてくれるんだったら、自分にできることってなんだろう、やっぱりチームを存続させることかな、と自然に思えたんです。だから自分でチームを経営することになった」
誰かに必要とされることは、誰かの希望になる、ということだ――。
三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』の一節だが、折茂にとってその「誰か」はまさしく、北海道の人々だった。
「ぼくね、東京にいたとき、ファンにもとげとげしかったり、態度悪かったんです。でも、そういうのを全て一掃してくれたのが、北海道だったのかなと思います。ここに来て10年、人間力みたいなものは、もう計り知れないくらい変わったと思います」
五十嵐、川村、そして折茂。
三者三様の、ホームタウンとの、人々との関わりがある。
全てのチーム、全てのプレイヤーが、ホームタウンの人々にとっての「希望」となることを願って、Numberも2年目のBリーグを追いかけていきたい。