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Bリーグ連覇に挑む栃木ブレックス。
田臥勇太が話すシンプルな強さの源。
posted2017/09/25 11:30
text by
後藤茂仁(Number編集部)Shigehito Goto
photograph by
Yuki Suenaga
昨季、Bリーグ初代王者に輝いた栃木。その強さの本質を示す象徴的なシーンとしてたびたび語られ、今回の取材でもたびたび話題となったのが、ファイナルの第4クォーター終盤、田臥勇太とジェフ・ギブスが追った、2つのルーズボールだ。
残り16秒、85-79で栃木が6点リードし、勝利をほぼ手にしたと皆が思うなかで、リバウンド争いからコート外へ飛んだルーズボールを追い、田臥は迷わず客席へと飛び込んだ。さらに残り8秒、今度はそこまでに両チームトップの25得点をあげていたギブスが、同じくルーズボールを追ってコート外へとダイブ。彼はそれにより負傷交代となり、試合後、左足のアキレス腱を断裂していたことが報道された。
点差と残り時間を考えれば、無理にボールを追う必要はなかったかもしれない2つの場面。しかし栃木は最後までそのアグレッシブな姿勢を貫き、結果、王者の座を手に入れた。
技術やうまさだけでは感動は生まれない。
「今季、チーム練習に入る前の最初のミーティングでも、選手たちには『あのファイナルでのルーズボールが栃木のよさだ』と伝えました。ああいうアグレッシブなプレーに対してチームのみんなが賞賛し、全員で互いをカバーしあう。どんな苦しい状況でも、そういうことは絶対に徹底しようと話しています」
元日本代表ヘッドコーチで、この7月に新たに栃木の指揮官となった長谷川健志はそう話す。まずはチームファースト。そのうえで「他のどのチームよりも、アグレッシブでスピーディーなバスケットを見せたい」と言う。
栃木のファンは熱いことで有名だが、長谷川HCはそうしたファンを持つチームを率いることについて「技術やうまさだけでは人を感動させられない」とも語る。「バスケットのファンに喜んでもらうためには、まずは攻守ともに積極的に、そして絶対に“チームとして”戦うこと」が大事だという。