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甲子園で人気の金属バットはどれ?
68本塁打リストと高性能化の影響。
posted2017/09/06 11:00
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
金属バットが打球をとらえた音を聞いただけで、「これは〇〇社の〇〇という型ですね」と見事にいい当ててしまうのは、東京都立川市の野球専門ショップ「ベースマン立川店」の星徹弥さん(27歳)だ。
「僕だけじゃなく、業界関係者は、だいたいわかると思いますよ」
その星さんは、大会記録となる68本のホームランが乱れ飛んだこの夏の甲子園における「全ホームランバット」を映像を元に調べ上げた。
「近年、高校生の7割から8割くらいがミズノの『Vコング02』か、SSKの『スカイビート31K』を使っている。今年は特にVコング02が圧倒的に多かったですね」
中田翔愛用の「Vコング02」を上回る人気商品が。
10年以上前に発売されたVコング02は、金属バットの「最高傑作」と言われる名バット。高校通算87本塁打をマークした大阪桐蔭の中田翔(日本ハム)が愛用したことで知られ、それをきっかけに大ベストセラーとなった。その牙城を崩したのが、2015年に発売されたスカイビート31Kなのだという。
星さんは、両バットの違いをこう説明する。
「Vコングは『打感(打った感触)』が柔らかい。バットが凹むぶん、その反発で飛距離も出る。打者からすると、芯の部分が広く、捕らえているというか、乗せてる感じがするようです。神戸製鋼で開発された金属バット専用のHS700とういう特別なジュラルミンを使っています。ただ、選手によっては、柔らかい素材は、スピードボールに負けていると感じてしまう。その点、逆にスカイビート31Kは硬い。凹みは弱いけど、戻りが早いので飛ぶ。また、とても高い音がするので、バッターは気持ちがいい。そこも人気の秘密かと思います」