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甲子園で人気の金属バットはどれ?
68本塁打リストと高性能化の影響。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/09/06 11:00
今夏の甲子園で最後のホームランを放ったのは広陵の丸山壮史。9番を打つ試合があったが力強いスイングを見せていた。
清宮、中村が使用したバットはどんなタイプ?
ちなみに高校通算本塁打記録を更新した早実の清宮幸太郎はローリングス社製、この夏の甲子園で、新記録となる大会通算6本の本塁打を記録した広陵の中村奨成はゼットの『ネオステイタス』というバットだった。星さんが話す。
「清宮選手のバットは完全にスラッガータイプ。非常に珍しい。別格だと思われているのか、彼と同じバットを使いたいという問い合わせがきたことはありません。中村選手に関しては、やはり問い合わせがけっこうきてます。これは操作性重視の、アベレージタイプのバット。このバットで、あれだけ長打が打てるというのは、さすがです」
強打で知られる日大三を指揮する小倉全由監督は、この夏のホームラン数について、こう語っていたものだ。
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「最近のバットはほんと、振りやすいですよ」
重心の位置を変えることで軽く感じるバットも。
高校野球で使用される金属バットは、2001年秋から「900グラム以上」という規制が設けられた。800グラム台だと金属を薄くし、反発力を高めるという細工ができる。それを防ぐのが狙いだった。また重ければ重いほどスイングスピードが落ちるため、ボールが飛ばなくなるという計算もあった。
しかし、近年では肉厚でも反発力の高い金属が開発され、トレーニング法の発達で900グラム以上のバットでも高校生は軽々と振ってしまう。また星さんいわく、「重心の位置を変えることで軽く感じるバットも登場した」という。
「スカイビート31Kは、ニアバランスといって、重心をバットの手元に寄せた。それと、ヘッドキャップに金属を使用したことで、900グラムあるとは思えないほど振りやすく、かつヘッドの効くバットに仕上げた。それから数年前までバットの長さは84センチが主流だったのですが、今は、83センチを使う選手が急増した。重くても振りやすいバットは日進月歩で変化しています」