福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
ポドルスキ、ドゥンガ、エムボマ……。
福西崇史が語る大物外国人の活用法。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/08/09 11:30
ドイツ代表歴代3位の49得点、アーセナルなどでも活躍した“ポルディ”を抑える。日本人DFにしてみれば、彼とのマッチアップは最高のアピールの舞台だ。
ドゥンガか……最初の頃は怒られましたよ(笑)。
ビッグネームの外国籍選手がJリーグにいることのメリット。それは僕自身、チームメートとしても、対戦相手としても経験しました。チームメートはドゥンガで、対戦相手ではエムボマですね。
さっきはポドルスキにも遠慮し合わないでどう関係性を築くか、という話をしましたけど、ドゥンガに関しては……言い合える関係ではなかったですよ、最初は(笑)。
ドゥンガが加入した当初は、できないプレーが多いから怒られたし、指摘され続けた。ただ相手の要求に応えられるようになってくると、その関係は少しずつ変わっていく。ドゥンガから怒られる回数が減ったのはもちろん(笑)、できることが増えていくと、ドゥンガがまた違う要求をしてくるんです。
自然と僕の方からも意見できるようになってくるし、それを繰り返すことで自分自身もチーム全体のレベルも上がったことは間違いない。現時点の神戸はお互いの意見に差がある段階だと思います。そのギャップを練習の中でどれだけ改善していけるかが大事ですね。
「無理、異次元だわ」と思ったエムボマのフィジカル。
そして対戦相手にとっても、Jリーグの舞台でワールドクラスの選手と戦えることは大きい。僕が印象に残っているのはエムボマのフィジカルです。日本代表を含めて色々な選手とマッチアップしたけど、「無理、異次元だわ」と思ったのは彼だけです(笑)。テクニシャンだったら“抜かれなきゃいい”という感じで対応出来るけど、エムボマはお尻、腕など全身の筋力が強すぎてボールを奪う間合いにすら入らせてくれない。
何よりエムボマに驚いたのは、動きながらのプレーでした。動かない状態でフィジカルの強さを発揮する選手は多くいましたけど、ドリブルなどでは意外と隙ができて怖さはないんです。でもエムボマの場合は「どこから伸びてきたの?」という足の出方をするし、相当激しく当たったはずなのに、それに耐えてドリブルやシュートに持ち込まれる。そんなエムボマのような相手と戦うことで、日本のディフェンスは強くなるきっかけを手に入れられたと思います。