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韓国代表の座は「毒を盛った杯」。
恒例化した監督交代は何が原因か。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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posted2017/07/10 17:00

韓国代表の座は「毒を盛った杯」。恒例化した監督交代は何が原因か。<Number Web> photograph by AFLO

まさに針のむしろの状態だったシュティーリケ前監督。韓国代表を率いて英雄視されたのはヒディンク元監督くらいかもしれない。

日本と韓国、W杯に至るまでのプロセスは対照的だが。

 韓国では監督交代劇が頻発する一方で、日本では'97年に加茂周が更迭されて以降、20年間成績不振による監督交代が起きていない。ただ'06年以降のワールドカップでの成績で比べればほとんど僅差の“五分五分”だ。

 今回の取材過程で韓国側からデータがひとつ出てきたので、最後にご紹介する。

 大韓サッカー協会が大韓体育会に対して提出した「2016年度予算決算書」。ここで「スポンサー協賛金」の項目を発見した。

 総額は292億ウォン=約29億円。

 一方で日本ではこれに関連する公式的な1次資料は一般公開されていない。参考までに'14年に飲料メーカーが男女のA代表ほかフットサル、ビーチサッカー、各年代別の代表をサポートする「公式パートナー契約」を交わした際、スポーツ紙は推定金額として「年間25億円」と報じた。これ以外にも日本サッカー協会にはオフィシャルサプライヤー、サポーティングカンパニーなどからの収益がある。

揉めすぎるのは確かに問題だが「自信」を持っている。

 何が言いたいのかというと、巷でよく聞く「スポンサーのしがらみが強いから解任できないんだろ」という説だ。金額を推定しても、「韓国のほうが少ない」ということは言えそうだ。サッカー協会と契約を結ぶ広告代理店も、日本が最大手企業であるのに対し、韓国は'00年に発足したサッカー協会マーケティングメインの中小代理店がその役割を務めている。

 あらゆる形のお家騒動を繰り返したのち、現時点では「国内監督でよし」との答えに達する韓国。取材を続けていると、揉めすぎるのは確かに問題だが、韓国サッカー界にはこういった雰囲気も感じる。

「世間様からサッカー界は揉めてると見られても大丈夫。簡単にその地位は揺るがない」

 監督交代の時こそ、サッカー界の「自信」が試される時。そう考えると、日本も得るものはあるはずだ。

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