Before The GameBACK NUMBER
正しさとは冷たさでもある。~間違えない機械と、間違える人間の審判はどちらがスポーツ的か~
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph byGetty Images
posted2017/07/11 16:30
コンフェデ杯チリ―カメルーン戦、ゴールをとりけされたバルガス。
電話ボックスに若者が詰まっている。尻と尻のあいだに顔がある。変なところに突き出た腕と脚が交差している。米国の大学生の馬鹿騒ぎだ。昔、そんな写真を見た。若者向けの雑誌に載っていた。
ラグビーのゴール前で大男どもが折り重なる。トライか。そうでないのか。いつも「電話ボックスにさて何人?」が思い浮かぶ。
レフェリーが膝を折り、楕円球が芝に着いたか確かめようと試みてあきらめ、両手の指で四角を示す。モニター画面のつもりだ。
TMO。テレビジョン・マッチ・オフィシャル。映像をスロー再生、別室の担当審判がストップ画像もまじえミクロの成否を解明する。国際試合の場合、仮に得点を認めるなら「ユー・メイ・アワード・ザ・トライ」という決まり文句を主審に無線で告げる。2001年からテクノロジーの使用は認められ、すっかり定着した。