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野球とサッカーとバスケで合計102。
プロチームがない都道府県はどこ?
text by
堀井憲一郎Kenichiro Horii
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/07/06 08:00
プロ野球の地上波中継は減っているが、それでも他球団に比べれば巨人戦は多い。全国区、という自負もうなづける。
全部で102チーム、もっとも集中しているのは神奈川県。
野球とサッカー、バスケットボール野蹴籠球三種のプロチームは、12と54と36で102チームとなる。102チームが42の都道府県に存在している。
野球チームしかない県というのはない。
埼玉だけは、野球チーム(埼玉西武ライオンズ)とサッカーチーム(さっきの浦和と大宮)はあるが、バスケットボールの埼玉ブロンコスはB3リーグなので、いまのところプロバスケチームは持っていない。のこりの野球チームのある10都道府県はサッカーチームもバスケチームもある。
バスケだけでサッカーも野球もない県は4つで、青森、滋賀、奈良、島根。
サッカーだけあって、野球とバスケットチームがない県は11県になる。山梨県、岐阜県、静岡県、鳥取県、岡山県、山口県、徳島県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県。
鹿児島県はこのあいだまでB2リーグに鹿児島レブナイズというチームがあったが、経営悪化を理由にB3リーグに陥落した。また、静岡県はサッカーチームしかないのだが、そのサッカーチームは4チームもあり、清水と磐田と沼津と藤枝にある。ありすぎのように見えるが、静岡県民はたぶんそれでいいのだろう。
もっともプロチームが集中しているのは、東京都ではない。
神奈川県である。
バスケットが2(B1の横浜ビー・コルセアーズ、川崎ブレイブサンダース)、サッカーが6(J1の川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、J2の横浜FC、湘南ベルマーレ、J3のY.S.C.C.横浜、SC相模原)。そして野球が1、横浜DeNAベイスターズで、合計9チーム。
神奈川県というのは横に広く、それぞれ別のエリアだという意識が強いのでしょう。そもそも県人口が多いということもあるが、しかし9チームは多い。
旧国をくっつけて県にした影響が今でもある。
いまの都道府県の区分けは明治になって決められたものであり、それまでは、大化の改新のすこしあと律令制で定められた国(旧国)区分で千年あまり暮らしていた。旧国がそのまま一県なのは、長野県(信濃)や山梨県(甲斐)、群馬県(上野)、栃木県(下野)、茨城県(常陸)あと四国四県ぐらいである。(それぞれ厳密に同じではないが)
そのほかの日本じゅうの大半の県は、旧国がいくつか合併して県になっている。
一緒にされた旧国どうしは、明治以来一貫して、あまり仲が良くない。日本全国、みな良くない。
たとえば、愛知県は、尾張と三河から成り立っていて、この2つは仲が良くない。
だから、愛知県にはプロスポーツチームがいっぱいあり、たとえばバスケットチームが4つもある。
尾張に2つ、三河に2つ。
尾張はどっちも名古屋。
三河のほうは、1つは刈谷。1つは豊橋。
刈谷は愛知県の真ん中にあって「シーホース三河」だけれど、豊橋は愛知県の東の端にあるから「三遠ネオフェニックス」と名乗っている。
三遠。ひさしぶりに聞いた。よく徳川家康が言っていた。
遠は遠州だからもう静岡県で、三遠ネオフェニックスは、豊橋だけにかぎらず浜松やその周辺地域もホームタウンとしているのだ。なんだか領地拡大を目指している戦国武将みたい。遠州も取ったら、駿河を狙って駿遠三の支配を目指して欲しいって、ますます家康です。いやまあ、そのときは駿河の藤枝も清水も黙ってないだろうけど。