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青学・原晋監督が強調した「垣根」。
マラソン強化のために必要なこと。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2017/06/13 08:00
青山学院大学の原晋監督は、駅伝界の異端児である。マラソンにも力をいれており、42.195kmを席巻することになればその影響力は計り知れない。
原氏の「垣根」という言葉に問題は凝縮されていた。
中学生の頃、高校生の頃、それぞれの年代でどういうところを鍛えることがよいのか、何をすれば将来へとつながるのかの判断が、それぞれの現場に委ねられているということでもある。
そのほか、駅伝との兼ね合い、強化体制のあり方、フィジカルトレーニングなど、さまざまなテーマをもとに、議論は進んだ。
現場の声も交え、それぞれに興味深い話が出たが、ミーティング全体を通してみて、浮かび上がった最大の課題は、原氏が何度か口にした単語にある。
「垣根を取り払って」
「垣根を下げて」
ときに競泳や卓球の成功に触れつつマラソンの強化に言及したが、そこにも垣根の存在を意識していることが感じられるようだった。
何が垣根かと言えば、何度か指摘された各組織の連携の弱さもそうだし、さまざまな年代を通しての一貫した強化方針がないこともそうだ。
なんとなく感じていた垣根を、公にする意義。
同時に、マラソン強化の責任ある立場の人、現場の指導者、さらには選手(青山学院大学の下田裕太らが出席し発言したほか、映像で数名の選手も登場した)ら関係者が一堂に会して、なんとなくは分かっていた垣根の存在を自覚し、公にして、それを越えなければいけないことをあらためて認識したのは意義がある。
2020年まで決して時間は多くない。立ち止まっている時間がないのは間違いない。
それでも、本気で勝負しようという意志のもとで開催された今回の試みを機に、流れが変わっていくのではないか。
2020年だけではない。その後も見据えて、ここからどう強化を図っていくのか、興味深い。