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Bリーグ史に残る栃木の大逆転劇。
22点差すら楽しめる選手、ファン。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKyodo News
posted2017/05/19 17:00
追撃ムードが高まる第4Q、栃木ファンは田臥ら選手を熱くサポート。会場が生み出した大逆転劇だった。
あきらめない気持ちを保つための方法論があった。
あきらめない気持ちが大事。スポーツの世界に限らずあまりに使い古された表現だが、栃木はそれが正しいことを証明した。キャプテンの田臥勇太も、このような言葉を残している。
「出だしで点差がついてしまったんですけど『焦ることはせず、自分たちのやるべきことをしっかりやり続けよう』とハーフタイムにみんなで話し合って、ひとつずつしっかりやった。みんなで挑みました」
見逃せないのは、あきらめない気持ちを保つための方法論が彼らにあったことだ。
ディフェンス面にプライドを持ってプレーする栃木の中で、とりわけ守備の安定感を武器にレギュラーを獲得した遠藤祐亮という選手がいる。その遠藤が、第1Q後にチームで話し合ったことについて説明してくれた。
「『点差を一桁に詰められたらいいな』ということは話しつつも『20点差以上はつけられてはいけない』という話はありました」
点差が詰まれば、重圧を感じるのは相手の方だ!
チームのエースであるライアン・ロシターは、こう話す。
「22点差をつけられた後も、お互いを責めることも、あきらめたりすることもありませんでした。我々はチームワークや、チームケミストリーが素晴らしいからこそ、ひとつひとつ返していこうと。点差が詰まれば、プレッシャーを感じるのは相手の方です。この試合でも相手がタフショット(難しいシュート)を打たざるを得なくなったり、悪いオフェンスが続くようになりました。我々は逆にそれをアドバンテージにすることができたと思います」
点差は、借金に似ている。その差が開けば開くほど、完済のイメージが抱きにくくなる。冷静かつ入念な返済計画を立てていくかのように、点差も少しずつ詰めていく姿勢が必要なのだ。第1Q後の“19点以内に縮めよう”という話し合いなど、その最たるものだ。