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Bリーグ史に残る栃木の大逆転劇。
22点差すら楽しめる選手、ファン。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKyodo News
posted2017/05/19 17:00
追撃ムードが高まる第4Q、栃木ファンは田臥ら選手を熱くサポート。会場が生み出した大逆転劇だった。
チーム全員で「しっかりと同じ意識をもってやろう」。
それは試合に出ている5人だけではなく、チーム全員でも共有していた。
遠藤が振り返る。
「試合の入りこそ悪かったんですけど、コート内でも、ベンチでも、そういうコミュニケーションがあったからこそ、追いつけたんじゃないかなと思います」
同じく、田臥も強調する。
「試合の中でも、ディフェンスからしっかりとやり続けようと話し合っていたのですが、そういうコミュニケーションをとり続けようという意識がみんなの中にあったと思います。コートに出ているメンバーもそうだし、ベンチにいるメンバーも、タイムアウトごとに、『しっかりと同じ意識をもってやろう』と話していましたから」
ファンがプレーを楽しむことが、サポートになる。
チームがしっかり指針を立てていたのと同様に、外側からチームをサポートする人々の力も大きかった。守備力を評価されて出場時間を伸ばし、最近の試合では攻撃でも貢献している須田侑太郎は、自身の3Pシュートが決まった瞬間のことを笑顔でこう振り返った。
「気持ちよかったです。僕は栃木に3年いますけど、歓声が一番すごかったんじゃないかなと思います!」
座席数が3592人のところ、収容率に換算すると111.3%にあたる3998人が詰めかけたブレックスアリーナのファンが、選手たちの逆転への構想をサポートした。
アウェーの地にも大挙して訪れる栃木のファンは、どんなに点差が離れていても、1つのゴール、1つのシュートブロックのたびに大きな歓声を上げる。ファン自身がその瞬間を楽しむことが、チームをサポートする効果を発揮すると信じて疑っていないのだ。
第2戦のスタッツで言えば、栃木は3Pシュート6本、2Pシュート23本、フリースローを13本決めた。そしてリバウンドは40本確保し、スティールが7回、ブロックショットは5回を記録している。これらを合計すると少なくとも94回ファンは喜びを露わにしたし、実際にファンが沸いたのはそれ以上の回数だった。