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ダルビッシュとカッターの増加。
必殺のスライダーを生かす投球術。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2017/05/13 07:00

ダルビッシュとカッターの増加。必殺のスライダーを生かす投球術。<Number Web> photograph by Getty Images

豪速球と多彩な球種を使い分けるダルビッシュ。2017年、進化のキーワードは「カッター」となり始めている。

被打率.103のスライダーを最大限に活かすために。

 ざっくりいってしまうと、スプリッターはツーシームと組み合わされたときに最も効果を発揮し、スライダーはカッターと組み合わされたときに最も効果を発揮する。軌道の変化は似ていても、球速がそれぞれ13キロから16キロほどちがうからだ。

 ダルビッシュの決め球は、なんといってもスライダーだ。今季の被打率を見ても、スライダーを投げたときは、相手打者に1割3厘の打率しか許していない(他方、ツーシームは2割8分6厘と打ち込まれている。カッターは2割3分3厘)。

 球速に眼を転じてみよう。ダルビッシュのスライダーは130キロ前後で、カッターは140キロ台前半だ。打者にしてみれば、この落差には惑わされる。球筋の変化は似ていても、対応に苦慮する。差し込まれて詰まってしまったり、タイミングを外されて空振りしてしまったりというケースが、今季はいつにも増して多いような気がする。

 両者の合計比率は42.3%(昨年は31.0%)だが、この数字は'13年の54.8%に次いで高い(ただし先ほども述べたとおり、'13年はスライダーの比率が異様に高かった)。

カッターは早打ちを誘い、投球数を減らせる利点も。

 カッターの多用には、ほかにもメリットがある。ひとつは打者の早打ちを誘い、投球数を減らせること。もうひとつは、肘に負担のかかるスプリッターを減らせること。トミー・ジョン手術を受けたダルビッシュには、将来を考慮すると、どちらも大切な要因となる。

 もちろん、カッターが万能の球種というわけではない。4月23日の対ロイヤルズ戦では、曲がり切らないカッターが内角に入り、マイク・ムスタカスに痛烈な本塁打を浴びてしまった。この球はスライダーほど曲がりが鋭くないだけに、ひとつコースをまちがえると、左打者の餌食になりがちな傾向がある。

【次ページ】 内角を攻めてから、外角低目のボールで仕留める。

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