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抑えて当然、リリーフはつらいよ。
それでも上原浩治は生き残る。
posted2017/05/06 11:30
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
42歳のベテランの目線はどこか温かく、優し気だった。
4月19日のブルワーズ戦、2-4の8回に登板して三者凡退に抑えたカブスの上原浩治は、若手が目立つチームメイトについてこう言った。
「若いチームなんでミスも多いけど、それに代わる何かを持っている連中ばかりなんで、楽しみと言えば楽しみ」
25歳のカール・エドワーズ・Jr.から34歳の左腕ブライアン・ダンシングまで、20代が6人、30代が6人という投手陣である。40代は上原ただひとりだ。
マウンド上での躍動感あふれる投球フォーム。練習時に軽快に走り込む姿。日本人は元から若く見られがちだということを差し引いても、普段の上原を見て「40代」と思う人は皆無だろう。だが彼は、他のベテランがそうであるように、とても入念に試合への準備を行っている。
ホールドという成績はMLBでは付きづらい。
誰よりも先にグラウンドに姿を見せて、ひとりでウォーミングアップを始めるのが上原という選手である。そういう姿を見ていると、いつだったか彼が言った言葉を思い出す。
「何もしないでいいんだったら、そんなに楽なことはない。でも、僕は今までにハム(太もも裏)とかを怪我してるんで、いつだって不安はある」
体のケアをしっかりするのは仕事の一部であるとは言え、それでは気が休まる暇もない。
ただでさえ、救援投手はとても辛い仕事だ。
気の毒なのは、セーブという分り易い成績が付くクローザー以外は、一般に評価される成績が少ない。おまけにホールドという成績は、3点以内で勝っている時、3回以上投げたときにつく。またMLBでは引き分け規定のある日本プロ野球と違って、同点の厳しい場面で抑えた時には付かないという理不尽な成績だ。