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抑えて当然、リリーフはつらいよ。
それでも上原浩治は生き残る。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2017/05/06 11:30
古巣相手の登板となったレッドソックス戦では4月30日にわずか11球で1回無失点だったが、翌5月1日に3失点で今季2敗目を喫した。
投手が打席に立つナ・リーグならではの難しさ。
救援投手の起用法は、上原が昨季まで所属していたア・リーグと、現在所属するナ・リーグでは違う。指名打者制度のあるア・リーグは、先発の球数や相手打者との相性や傾向で、救援投手が決まる。ところがナ・リーグでは、投手が打席に立つので、得点が僅差の試合では点を取るために投手に代打を送り、それによって自動的に救援投手を投入せざるを得なくなる。
上原も今季、最初の10試合に登板した時点で、その内の半分が前のイニングの攻撃中に投手に代打が出されて登板しており、ア・リーグ時代以上にゲーム展開を読みながら準備しなければならない状況だ。彼にとって救いなのは、カブスがナ・リーグ中地区の首位を快走していることだろう。
「勝っているから楽しいんであって、勝たないと楽しくないから」
結局はそのひとことに尽きるのだと思う。そして、それは去年の12月、彼が自身のブログで語っていたことと変わらない。
「他球団からもお誘いをいただきましたが、やっぱり自分の中では優勝に近いチームでやりたかったっていうのが一番ですね。条件なら、他のチームってことも考えられたけど自分の条件は『勝つ』ことですからね」
上原がマウンドに上がる。どんな内容であろうが抑えて、カブスが勝つ。
「いつ出番が回ってくるか分からない」救援投手である彼の苦労が報われるのは、その繰り返しの末に、カブスがワールドシリーズ優勝を果たす日なのかも知れない。