沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
今年の牡馬が弱い、は間違いだった。
皐月賞をレコードでアルアインが制覇。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2017/04/17 11:20
3戦連続で外国人騎手だったところから、乗り換わって重賞制覇、そしてそのままGI勝利。松山弘平にとっては忘れられない馬になったことだろう。
「4コーナーで死んだふりをして内を突いたのが勝因」
松山のインタビューが初々しかったのに対し、管理馬でワンツーフィニッシュを決め、GI17勝目とした池江調教師の受け答えは、慣れたものだった。
「前走の毎日杯から中2週というのは、繊細でカイ食いが細い馬なら別ですが、この馬にとっては仕上げやすかった。トレセンではヤンチャなところを見せるんですけど、今日はパドックでも馬場入りのときも、どっしりと落ちついていましたね。スタートが速かったので先行争いに巻き込まれそうになっていましたが、1コーナーではもうポジションが固まっていた。流れからしても、いいところでしたね。4コーナーで死んだふりをして内を突いたのが勝因かもしれません」
デビューからマイルで3戦して、1、1、6着となり、前走1800mの毎日杯を勝ってここに来た。
「こういう距離を選んで使ってきたのは、ぼくの発想の乏しさです。母系や体型から、マイルがいいかな、と、既成概念にとらわれてしまった。毎日杯ぐらいから、そうしたものを打ち壊す馬だな、と思いました」
次走はダービーになる模様。池江師は「距離が延びてもある程度対応できるよう、調教でしっかりつくるしかない」と言い、松山は「自在性があるのがこの馬のいいところです。折り合いに問題はなく、最後の粘りと持久力があるので、距離は心配していません」と自信を見せた。
ファンディーナは「牡と牝の差」で負けた?
牝馬として69年ぶりの優勝を狙ったファンディーナは、掛かり気味の手応えで先行し、直線で先頭に躍り出たが失速し、7着に沈んだ。
騎乗した岩田康誠は、「好位でそれなりの競馬ができた。4コーナーで先頭に並びかけていい感じでしたが、そこまでだった。牡と牝の差かもしれません」と振り返った。
管理する高野友和調教師も「大きな不利があったわけでもなく、競馬の進め方は上手だった。今日に関しては力負けだったと思います」と語った。
パドックに出てきたときからテンションが高く、折り合うまでに時間がかかった。また、向正面では折り合っていたものの、周囲を牡馬に囲まれ、プレッシャーを受けていた。今回が初の強敵相手だったこと以上に、そうしたことが響いたように見えた。