詳説日本野球研究BACK NUMBER
日本球界、実はリリーフ人材不足。
大卒・社会人出身の費用対効果。
posted2017/04/16 09:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
現在、日本のプロ野球界で人材が不足しているのはリリーフ投手である。
準決勝進出で世界水準の実力を示したWBC(ワールドベースボールクラシック)出場選手を見ても、過去2シーズンでリリーフ専門だったのは平野佳寿(オリックス)、秋吉亮(ヤクルト)、宮西尚生(日本ハム)、松井裕樹(楽天)、岡田俊哉(中日)の5人だけである。
牧田和久(西武)と増井浩俊(日本ハム)はリリーフと先発を兼務していた。また千賀滉大(ソフトバンク)はWBC準決勝アメリカ戦で2番手として4者連続三振を記録し、日本人選手でただ1人ベストナイン(オールWBCチーム)に選出された。しかし昨季は先発として12勝3敗、勝率.800の好成績を挙げた。彼らのような先発型がWBCではリリーフを務め、4強進出の力となった。
千賀、牧田、増井だけでなく、チーム内ではエースの則本昂大(楽天)、藤浪晋太郎(阪神)もリリーフとしてWBCのマウンドに立った。そんなリリーフ不足が反映されていることもあるのか、今季序盤戦で活躍している若手はリリーフでの起用が目立っている(以下、成績はすべて4月9日現在)。
楽天が昨年指名した3選手は費用対効果抜群。
4月早々、パ・リーグの首位戦線に躍り出た楽天はリーグ1位のチーム打率.272でわかるように好調な打撃が支えている。それとは対照的に防御率はリーグワースト2位の3.89。投手10傑に名を連ねているのは9位の美馬学(防御率3.86)ただ1人で、規定投球回に達している投手も美馬以外、誰もいない。
先発陣がこのように壊滅的でも首位戦線に踏みとどまっているのはリリーフ陣が頑張っているからだ。
先発陣の防御率4.46に対して、リリーフ陣の防御率は3.21。リリーフ9人のうち自責点を記録しているのは防御率10点以上の青山浩二(防御率27.00)、小山雄輝(防御率18.00)、濱矢廣大(防御率13.50)の3人だけで、福山博之、ハーマン、松井裕樹、新人の菅原秀(大阪体育大)、高梨雄平(JX-ENEOS)、森原康平(新日鐵住金広畑)は自責点ゼロ、つまり防御率0.00だった。ドラフト指名順位で見ると、菅原4位、森原5位、高梨9位だから費用対効果は抜群に高い。