マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
高校野球部はガチすぎて入りづらい。
甲子園を目指さない選択肢が必要だ。
posted2017/04/07 07:30
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
センバツが幕を閉じたのと呼応するように全国で大学野球のリーグ戦が幕を開け、同様に、社会人野球も各地で地方大会が始まって、本格的に「アマチュア野球」の季節がやって来た。
今年もまた、野球を追いかけていく1年が、あっという間に過ぎていくことだろう。
センバツは、近年にないダイナミックな内容の大会になった。
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春の高校野球らしい未熟さやひよわさに、ほとんど出会わなかったように思う。逆に、見ているこちらのほうが圧倒されるようなパワーとスピードは、何か、半分“大人の野球”を見ているような錯覚さえおぼえるほどだった。
予想はしていた。
今年の高校野球は「スラッガーの年」だ。反面、投手に昨年ほどの剛腕、快腕が少ない。
打ち合いになるぞ……そんな予感を大会前からいろいろな場で伝えてきた。
参加32校のうち、「21世紀枠」3校を除くと、公立校はわずか5校。そのうちの2校は静岡高と熊本工業高だから、私立に匹敵するチーム力を持つ強豪校である。
今年ほど“骨っぽい”顔ぶれが揃ったセンバツも、ちょっと記憶にないほどだった。
8強の160選手のうち、122人が中学硬式野球の出身。
準々決勝に勝ち進んだ8校はすべて私立だ。
超高校級の力量を持った個性的な腕利きたちも、このセンバツは近年になく多かった。
8強に進んだ選手たちの中に、ボーイズ、シニア、ポニーにフレッシュリーグ……、つまり、中学硬式野球のクラブチーム出身者がとても多いことに気がついて、どれぐらいいるのか、試しに数えてみた。
最近の高校野球雑誌は、センバツ出場選手についての個人データがすごい。
出身中学校はだいぶ前から掲げられていたが、ここ数年は、中学で軟式野球をしていたのか、硬式野球だったのか、所属していたチームの名前まで記されている。
確かめてみて驚いた。
8強のベンチ入り(地方大会含む)した選手、合計160人のうち、122人が硬式。76%である。