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ハリル「プレッシャーは大好きだ」
監督業はマゾでなければ務まらない。 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/03/31 07:00

ハリル「プレッシャーは大好きだ」監督業はマゾでなければ務まらない。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

「世界で最も辛いのはブラジルの代表監督」というジョークも存在するほど、この職業は精神的なタフネスが必要なのだ。

メディアやファンは、もっと彼らに要求しよう。

 それは健全な姿だと思う。当然ながら、6大会連続のW杯本戦を視野に捉えた日本にとって、それはゴールではなくスタートラインだ。前回のこともあり、さすがに勢いで「世界一になる」と言う選手はもういないだろうが、ベスト16の壁はそろそろ乗り越えたい。

 そのためにはメディアやファンが、引き続き要求していくべきではないか。ひとつひとつの結果に過剰に一喜一憂するのではなく、建設的な意見を提示していく。

 アジアで通用しても、世界で通用しない事柄はこれまでにもあった。様々な蓄積や経験は、みんなで共有している。つまりこのスポーツの文化の醸造のためにも、痛みや重圧を与えていくのだ。それは現日本代表監督の望むところでもある。

 2014年、レスターを率いていた強面のイングランド人指揮官ナイジェル・ピアソンもまた、「フットボールの監督でいることは、マゾヒストのようだ」と発言した。またドイツW杯に出場したマルチェロ・リッピ監督率いるイタリアは当時、“カルチョポリ”と呼ばれるスキャンダルが発覚した直後で、とてつもないプレッシャーにさらされていたが、それを団結力と反骨心に変えて世界の頂点に立った。

 日本のロシア行きのチケットは、手を伸ばせば届きそうなところにある。もちろん、まずはそこだ。しかし繰り返すようだが、目標はそこではない。ハリルホジッチ監督に2大会連続で、担当したチーム史上最高の成績を残してもらうためにも、我々はこれからも黙っていてはならない。

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