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日本柔道の改革、今度は代表選考。
4月の全日本が“対象外”の試合に?
posted2017/03/21 07:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
3月13日、全日本柔道連盟は世界選手権の代表選考において、新たな制度を加えることを決めた。夏に行なわれる世界選手権と、年末に行なわれるグランドスラム東京の両方で優勝した選手を、翌年の世界選手権代表に内定させることにした。
従来の選考は、4月の全日本選抜体重別選手権(重量級はその後の全日本女子選手権、全日本選手権も含む)後に発表されていた。その前に内定選手が決まることはなかったから、もしグランドスラム東京で条件をクリアすれば、約4カ月早まることになる。
変更の意図は、代表になってから大会までのスケジュールがタイトであり、調整時間が短いという声が現場サイドから上がっていたことからだという。
従来、柔道の選考は複数大会を対象に行なわれてきた。グランドスラム東京や全日本選抜体重別選手権だけではなく、その間に行なわれる国際大会も対象であり、いずれかの大会に出場するのが常だ。だから、4月を迎えた時点でコンディションがよくない選手もいた。
「合わせなければ一流ではないと思う。でも……」
「合わせなければ一流ではないと思います。でも、簡単ではないですね」
暗に調整の難しさをほのめかす言葉を聞いたこともある。対人競技であるがゆえに、ちょっとしたことで怪我も負いがちだし、減量も選手によってはかなりハードだ。
だから実績を持ち、直近の大会で好成績を挙げている第一人者であっても、調子を合わせきれずに全日本選抜体重別選手権で敗退するケースは少なくない。
一方で、全日本選抜体重別選手権が大きな選考の場であると考えているスポーツファンも少なからずいる。敗れた選手がなぜ選ばれるのか物議をかもすこともあった。