スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
日本とプエルトリコ。
WBC、勝負の鍵は野球IQの高さ。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2017/03/17 09:00
国旗を手に感情を爆発させるリンドーア。プエルトリコにとっても、WBCは国家の威信を懸けた戦いである。
ドミニカの“殺人打線”を抑え込んだプエルトリコ。
1次ラウンド全勝同士の対決となったドミニカ対プエルトリコは、プエルトリコが3対1で勝利した。顔ぶれでいえば、ドミニカのほうが豪華だったが、短期決戦の勝負事はやはりわからない。マニー・マチャド、ロビンソン・カノ、ホゼ・バティスタ、ネルソン・クルーズといった長距離砲をそろえたドミニカの破壊力。
その無敵軍団が、フランシスコ・リンドーア、ヤディエル・モリーナ、カルロス・コレア、ハビエル・バエス、エディ・ロザリオといった業師を集めたプエルトリコに籠手(こて)を取られた感じがする。それにしても、オルランド・ロマン(元ヤクルト)やエクトル・サンチアゴ(メジャー通算36勝)といった投手が、よくぞドミニカの殺人打線を抑えられたものだ。
知名度だけでいえば、プエルトリコの投手陣は、プールFのなかで最も低い。セス・ルーゴ、ホルヘ・ロペス、ホゼ・ベリオスと1次ラウンドで先発した投手を振り返っても、いわゆる一線級とは呼び難い存在だ。
ADVERTISEMENT
ただ、ロペスは24歳、ベリオスは22歳と未知数の魅力がある。彼らはこの大会で名を上げ、一気にスターダムへ躍り出ようという野望に満ちている。こういう若手が捨て身で来ると、意外な結果を出すことがある。しかも、リードするのは球界一の頭脳派ヤディエル・モリーナ。これは大きな強みだ。
カブレラ擁するベネズエラが大穴を開ける可能性も。
この勝利で、プエルトリコは波に乗るのだろうか。戦前の予想では、ドミニカとアメリカが準決勝進出の有力候補だったが、ここから先はまったくわからない。アメリカは、クリス・アーチャー、ダニー・ダフィ、マーカス・ストローマンといった先発投手陣が順調だし、4対2とベネズエラに逆転勝ちしたゲームを見ると、アダム・ジョーンズ、エリック・ホズマー、アレックス・ブレグマンといった脇役がきちんと仕事をしている。
やや不利と思われるベネズエラにしても、ミゲル・カブレラやホゼ・アルトゥーベといったスーパースターが爆発すれば、大穴を開ける可能性が皆無とはいえない。
では、2次ラウンドを1位で突破した日本の相手はどこになるのだろうか。私は戦前、アメリカかプエルトリコがプールFの2位に来ると予想していたが、初戦の波乱でドミニカが2位になる可能性も出てきた。