相撲春秋BACK NUMBER
師匠から受け継ぐ“粋”をまとう――。
横綱・稀勢の里、紫の着物を着る時。
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKyodo News
posted2017/03/10 17:00
春場所に備えて、土俵入りで使用する三つ揃いの化粧廻しを贈呈された稀勢の里。
いつか、紫の着物が誰よりも似合う風格と品格を……。
'14年の取材当時、「着物は大きな衣装ケースに4箱ほど持っている」と言っていた稀勢の里は、紫色の着物だけは、まだ持っていない。
角界では“紫”は特別な色だ。
紫色の締め込みは横綱だけが締められるものとされ、行司の世界では、最高位の立行司だけに許される色でもある。先代師匠に、「高貴な色だから、紫の着物はまだ“顔”じゃないぞ」(※分不相応の意味)と言われていたからだ。
今までも、そしてこれからも、稀勢の里はその身で大相撲の伝統文化を体現し、後世に伝えていく存在となるのだろう。
そして紫の着物が誰よりも似合う、風格と品格を備えた横綱となるに違いない。