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新1年生を見れば箱根の未来がわかる。
持ちタイムで2位は青学、1位は?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/01/30 11:30
箱根駅伝には、優勝を狙うチームとシード権確保を目指すチームがある。東洋大は、いつだって優勝を狙っている。
並べてみると、印象的な学校が3つある。
ここでは14分30秒切りの13校を並べてみたが、極めて印象的な学校が3校ある。
東洋大。
中大。
そして、東京国際大だ。
まず東洋大に関してだが、私の印象としては、このチームはリクルーティングを軽んじているわけではないものの、そこに頼らずとも安定した結果を残せるのが強みだと考えていた。
しかしよくよく考えてみると、設楽兄弟、服部兄弟という絶対的なエースが東洋大にはいた。彼らに引っ張られる形で、中間層の選手たちも成長していったのだ。
しかし、今年3月でエースの服部弾馬が卒業してしまう。その意味で、往路のエース区間を任せられる人材の補強が急務だったのだ。
その東洋大には、楽しみな人材が入る。西山和弥(東農大二)、大森龍之介(佐野日大)というふたりの13分台のランナーが加入し、すでに入学している相澤晃(1年)などと共に、上位層のレベルアップが見込まれる。
このところ、青学大、東海大のリクルーティング攻勢に守勢に回っていた東洋大だが、人材面でも反撃の狼煙を上げたと言っていいだろう。2020年、2021年の箱根は大いに期待できる。
ただし、青学大もふたりの13分台ランナーが入学予定で、この学年に関して言えば、「2強」の様相を呈するのではないか。
中央大学のリクルーティングが復活気配?
見逃せないのは、中大が7番目にランクインしていることだ。
前回まで、87回連続で箱根駅伝に出場してきた中大だったが、今回の予選会では、重要な3年生の層が薄いなど、完全に力負けした格好となった。
しかし2016年から藤原正和監督が就任し、リクルーティングの面では大きな進歩を遂げた。
全国高校駅伝の優勝校、倉敷高の1区を担当した畝拓夢(区間5位)、浜松商のエースで1区を走った真田翼(区間26位)など、ここ数年では間違いなくベストのリクルーティング。彼らがどこまで距離適性があるかは未知数だが、本戦でシード権を争える陣容は整えつつある。
もっとも、上位5人の平均タイムを見ると、東洋大から東海大までの上位5校と、6位以下の間には大きな差があり、6位日大から13位の早大まではおよそ5秒の差しかない。
そうなると、各大学の「育成力」が問われる4年間になってくる。
自らが勧誘した学生たちが入ってくる2017年は、藤原監督にとって本当のスタートと言えるだろう。