野球場に散らばった余談としてBACK NUMBER
15歳で指名され、一軍は上がれず。
辻本賢人「阪神に入ってよかった」
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酒井俊作(日刊スポーツ)Shunsaku Sakai(Nikkan Sports)
photograph byKyodo News
posted2017/01/30 07:00

プロの荒波に飛び込んで間もない辻本。彼が目の当たりにした選手たちの技量は、残酷なまでに圧倒的だった。
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「鳴尾浜はね、母校に帰る感じがするんです」
昨秋、辻本は兵庫・芦屋市の飲食店で食事を終え、ドアを開けると、体が固まったことがある。目の前には下柳剛がいたのだという。無理はない。阪神でルーキーだった時、リーグ最多勝に輝いたサウスポーだ。まさに雲の上の存在。あいさつすると驚かれた。
「頭、真っ白になって。そのときに気づいたんですけど、阪神の先輩とか、選手、関係者って、一生めちゃくちゃ緊張すると思います。初めての社会人で、一番初めに見る先輩、上司やし……。日本の高校に入っていないので、鳴尾浜はね、母校に帰る感じがするんです」
確かに、いまを生き切っていた。
