スポーツ百珍BACK NUMBER
青森山田は選手宣誓も凄かった。
高校サッカーは「名言」の宝庫だ。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2017/01/22 07:00
凛々しい表情で選手宣誓の大役を務め上げた住永。取材ゾーンでの対応も高校生離れした落ち着きだったという。
一条を率いた前田久監督は、選手を称え続けた。
興味深い話をしてくれるのは、選手だけでなく指揮官も同様だ。今大会で印象的だったのは、一条(奈良)の前田久監督である。
1月2日の2回戦・山形中央戦を1-0で勝利した翌日、3回戦で佐野日大(栃木)と対戦した。試合は1-2とリードされた後半終了間際、同点に追いつく劇的な展開となった。しかし直後のPK戦では、殊勲の2得点を挙げたMF加茂裕輝が失敗するなど、同校初となるベスト8進出は夢と消えた。
前田監督は「彼らにありがとう、という気持ちでいっぱいですね……皆さん、これくらいで2行くらいは書けるんとちゃいますか?」と報道陣を笑わせつつも、朗らかな関西弁で選手たちを称え続けた。
「我々の高校には推薦もないし、人工芝のグラウンドがあるわけでもない。だけど公立高校でやってきたチームとして、この後は受験生となる状況でも(選手権で)やれるというのを証明できたのは、彼ら自身も誇りに思っているはずですから」
「これが人生のピークちゃうで!」と指揮官は言った。
PK戦についても「選手一人ひとりに『コイツがおらんかったら勝ててへんかったな』という試合があって、それを思い浮かべたので、誰が外そうが全然問題なかったです。今後は、もうちょっと練習させますけど(笑)」と冗談を交えつつ、選手たちには高校サッカーは“終着点”ではないことも説いたという。
「ロッカールームでは『これが人生のピークちゃうで!』という話をしてきました。『この試合が、努力を重ねたら何かが起こる』と考えることができるスタートにしてほしいなと。あとちょっと足りんかった“何か”を埋めに行くモチベーションにしてほしいなと思います」