ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
米ツアー新年初戦が男女同時開催?
ゴルフ競技人口減に知恵を絞って。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2017/01/11 08:00
2017年初戦から優勝争いを演じた松山。近い将来、女子ゴルファーとともにこの大会に臨む姿が見られるのかもしれない。
米国男女ツアーは「戦略的提携協定」を結んだ。
米国の男女ツアーは昨年3月、「戦略的提携協定」なるものを結んだ。両ツアーの協力関係を築くことによる具体的な成果が問われ、今回の構想もそのひとつになりそうだ。ちなみに同様の試みは米国に先駆けて、昨年の欧州ツアーで実施されている。モロッコで男女の別大会を同じゴルフ場内の別コースで開催した。過去には日本にも同様の大会があったのだが……。
男女の“コラボ案”はさておき、PGAツアーではことし、新しいフォーマットの大会が行われる。4月末にルイジアナ州ニューオリンズで行われるチューリッヒ・クラシックは初開催の1938年から一般的な個人戦が行われてきたが、ことしは団体戦に様変わりする。
1チーム2人がひとつのボールを打ち合うフォアサム形式と、それぞれのボールをプレーしてホールごとに良い方のスコアを採用するフォアボール形式でスコアを作るダブルスのストローク戦を、4日間72ホールで行う(予選カットあり)。昨年11月に豪州で行われたISPSハンダ・ワールドカップとほぼ同じ競技方法だ。
新しい試みは、ゴルフ人口減少への危機感の表れ。
ツアーのメンバーから160人(80チーム)が参戦するフィールド。出場優先順位が高い選手が、パートナーを指名する。チューリッヒ保険とスポンサー契約を結ぶジェイソン・デイとリッキー・ファウラーがタッグを組むことが既に発表されており、ジャスティン・ローズとヘンリック・ステンソンという、リオ五輪の金銀メダリストコンビも登場する。
同大会は例年、マスターズとプレーヤーズ選手権というビッグイベントの間に開催されるため、ビッグネームの中には欠場する選手も多かった。それが、フォーマットが変更されたことで、周囲からの見方も変わるだろう。松山や石川遼が出場を決めた場合の相棒も、気になるところだ。
若く、実力のある選手たちが競い合う米ゴルフ界だが、こういった新しい試みは危機感の表れかもしれない。男女ツアーの提携にしても、将来を見据え、ゴルフ人口減少への対策を講じようとするもの。ゴルフ業界そのものが縮小すれば、バブルめいた時代が続く米男子ツアーの行く末も危ない。団体が協力関係を密接にして、互いに知恵を出し合う。目新しいイベントや、プロゴルフの別の魅力を発信していく必要がある。